導入事例

基幹システムに手入力して算出していた原価を日報と受注データから自動算出。kintone + krewDataで原価管理の精度を向上

八州製作株式会社様

部門製造全社
利用用途受発注管理原価管理
製品krewDatakrewSheet

公開日:2025年11月12日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

岐阜県羽島市に本社と3つの工場を構え、ダイカスト金型や治工具の設計・生産を手掛ける八州製作株式会社。アルミダイカスト金型を専門とし、自社内で設計から製作まで担う一貫生産体制で高品質の金型を安定供給している。手掛けた金型は1万型以上にも上りそのすべてがオーダーメイドだという同社では、株式会社コムデック(以下コムデック)の伴走支援を受けてkintoneとkrewシリーズを活用した原価管理の仕組みを構築し成果を上げているという。その経緯について代表取締役社長 瀬古 知里氏にお話を伺った。

課題

はっきりした原価が見えない。必要な数字が都度計算しないと出てこない。社内に存在する情報格差

自動車などに使われている金属製部品を作るために欠かせない金型を1963年の創業以来、安定的に製造・供給している八州製作株式会社。設計から生産、納品後のメンテナンス対応までワンストップで行う体制により世界に誇る品質の金型と評価が高い。顧客の信頼に応え続けるため定期的な設備投資や社員の技術力向上を図り、さらに社員一人ひとりが存分に力を発揮できる環境づくりにも力を注いでいるという。そんな同社だが、瀬古氏が異業種から移った頃は情報管理の方法が部署ごとに行われており、手書きの紙資料でのやりとりも多く、情報の整理や部署間の連携が取れていない状態だったという。

「原価管理や進捗管理についてもはっきりとした数字や状況が見えず、必要な情報が必要なときにさっと確認できない、社内の情報格差がある…。そういった課題がありました」と瀬古氏は当時を振り返る。

ITを活用して情報管理体制を仕組化したほうがよいのではないかと考えていたころ、参加したCybozu Days(サイボウズデイズ)でコムデックの伴走支援に関するセッションに参加。具体的な支援の内容を聞くうちに、IT部門やIT担当者がいなくてもkintoneを活用した業務改善を一緒に進めてくれそうだとわかり、コムデックに支援を求めたという。

最初はkintoneを導入することで業務や社内がどう変わるのか明確なイメージがつかめない状態であったが、コムデックのリードにより状況が整理されて優先順位がきまり、『原価管理を自動化させる』というわかりやすいゴールとその期日が決まったという。

「あれもこれも…と業務改善したいことを全部伝えるのではなく、『いつまでに原価管理を自動化させる』という明確な目標を社内に宣言したあたりから、社員たちの理解も得られていったように思います」と瀬古氏。

選定

原材料や工数など様々な情報から算出される原価を手間なくリアルタイムで把握できるようにするkrewData

コムデックの伴走支援のもとで原価管理の自動化を構築に着手した同社だが、当時は日報や発注書・納品書などに記載された情報を基幹システムに手作業で入力して原価管理を行っていたため、業務フロー全体を見直して原価管理に必要なアプリを構築していったとのこと。(下図)。 

▲ 原価管理の自動化のために刷新した新たな業務フロー 

図中の各アプリはそのアプリを使う部門に必要な情報のみを管理するようシンプルな作りにしている。すべての部門の情報を1つのアプリでカバーしようとすると、項目が多すぎてアプリの管理が難しくなるため、部門ごと・業務ごとにアプリを用意しアプリ間の情報を処理して原価管理に必要な情報を取得しているそうだ。 

このフローを構築するために不可欠なツールが、krewDataである。kintoneの標準機能でこのようなデータ処理を行うにはコーディングによるカスタマイズが必要になる。しかし、krewDataであれば、コーディングの必要がなく自由なアプリ間のデータ加工ができるため、業務フローに変更があっても自分たちでシステムの調整が可能になるということで導入された。 

また、krewSheetについては、受注管理や仕入伝票を確認する際にExcelのような操作性が求められたため合わせて採用されている。 

効果

原価管理の精度向上。ミスによる損失額の集計や再発防止にも効果

kintoneとkrewDataで業務フローを刷新した原価管理システムは、具体的には人の作業工数と機械の稼働それぞれの日報を元に、工程マスタや部品マスタと結合して1つの部品に対する原価を算出し、さらに1部品ごとの原価を受注データ、仕入伝票、重量計算マスタなどと結合させて最終的に1受注案件当たりの原価を集計している。なお、受注データは販売管理システムとデータ連携されており、(売上)伝票番号をキーとしてkintoneに自動で登録される。 

▲実際のkrewDataのデータ編集フロー図 

この仕組みにより、これまでは日報のデータを基幹システムに手作業で入力して集計していた原価を自動で算出できるようになったほか、これまでは難かった「ミスした作業分の原価集計」や区分別の集計等も行えるようになったので原価管理の精度が上がったという。 

「紙とExcelで管理していた頃は、原価集計に時間がかかっていましたが、その作業がなくなり担当者は他の業務に時間をさけるようになりました。また、原価率や利益率をすぐに把握できるようになり現場レベルでコストを意識できるようになりました」と瀬古氏。 

krewDataについては、社員にも「kintone内のデータを自動集計できる便利なツール」と認識されており、自社でいろいろな業務フローを構築しているそうだ。どういうことができるのかわかると一気に活用幅が広がり、自社の「こんな集計がしたい」を自分たちで叶えることができる状態になったとのこと。とのこと。フロー構築が上手くいかない時はコムデックが支援している。 

同時に導入したkrewSheetも受注管理や仕入伝票などを確認する際に、ソートやフィルタ等の操作がExcelライクにできるため、データ検索がしやすく、情報の視認性も良いと現場を中心に評価されている。Excel中心だった業務をkintoneに置き換えても違和感がなくうまく誘導できているとのこと。 

▲krewSheetを適用した受注管理の画面 

今後はkrewDataをさらに活用して「自分たちが見たい情報」を柔軟に集計し、その結果を分析して改善に生かしていきたいと意欲的に語っていただいた。

この事例の導入支援パートナー

この事例の導入支援パートナー
株式会社コムデック
対面開発を始めとした構築支援を得意とし、お客様の成長やビジネスの成功につながるよう、kintoneの導入から活用まで一気通貫した支援を行っている