導入事例
株式会社ジョイゾー様
業種:
情報通信業
利用用途:
受注管理・会計処理連携
使用製品:
krewData
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
kintone × 会計freee連携に必要なデータ整形をkrewDataで自動化したジョイゾー
株式会社ジョイゾーは、2010年に設立されたkintoneを中心としたコンサルティング・システム開発およびkintoneプラグインの開発/販売を手がける開発会社だ。kintoneを専業で手がけているのが特徴で、「システム39」という定額対面開発サービスを提供している。
システム39はこの1年で引合いが増え、今では問い合わせをもらっても直ぐに対応仕切れないほど人気が高まっているそう。また、プラグインの契約数も増えてきており、請求管理が限界に来た。ジョイゾーではkintoneで案件管理をしているのだが、会計システムにデータを手入力したり、請求書を紙に印刷して郵送したり手間の負担が大きくなってきたのだ。
そんな時に、「会計freee」がkintoneと連携するAPIを公開した。案件管理や請求管理は引き続きkintoneで行うつもりだが、会計部分だけを自動連携させることができるのでは、と気がついた四宮氏はそれまで利用していたシステムから会計freeeに移行することにした。この決断を支えたのは、「krewData」の存在だったという。今回は、「会計freee」と「krewData」を組み合わせ、効率的でミスのない案件管理と請求管理システムを構築した顛末を四宮氏に伺った。
【課題】「freee」と連携するためのアプリに適切なデータを自動入力したい
ジョイゾーの「システム39」は3回の対面開発で、ワンプライス39万円というわかりやすいシステム開発サービスだ。ここ2ヶ月で50件以上の相談が寄せられており、受注したとしてもすぐに対応できないほどだという。
「この1年ほどの傾向として、JavaScriptでがりがりとカスタマイズするような案件は減少傾向にあります。その代わり、プラグインや連携サービスを使って課題を解決するという流れになっています。その中で、「krewData」を提案することも多いです」(四宮氏)
kintone開発のエキスパートであるジョイゾーだが、社内の請求書管理や会計システムに関する業務フローには課題があったという。案件管理や請求管理をkintoneアプリで行っていたのだが、受注した案件の仕訳作業は手動でクラウド会計サービスに入力していたのだ。そのため仕訳入力をするのにまるまる1日その作業に費やされていた。
ジョイゾーは「システム39」だけでなく、他の開発サービスやkintoneプラグインなども販売しており、契約数はどんどん増えていく。嬉しい悲鳴ではあるが、会計サービスへの入力業務はなんとかしなければならない、と四宮氏は課題を抱えていたのだ。
【導入】「freee for kintone」プラグインを導入するために「krewData」を活用
そんな時、2019年7月にクラウド会計サービスでシェアNo.1の「会計freee」が「freee for kintone」というプラグインを無償でリリースした(現在はWebサービスにアップデートしている)。freee for kintoneにより、取引先や取引データなどのデータを取引先登録プラグイン、書類登録プラグイン、請求書登録プラグイン、試算表取得プラグイン、取引登録プラグイン、振替伝票登録プラグインなどと組み合わせることで、「会計freee」とkintoneを連携させる業務フローを設計できるようになったのだ。
すぐに四宮氏は「freee for kintone」を導入することを決め、従来のシステムを「会計freee」に乗り換えた。乗り換えの際の決め手になったのが「krewData」だったそうである。
「freee for kintone」には、取引先や取引データを連係させるための専用アプリがあり、仕訳入力に必要な項目が用意されている。しかし、ジョイゾーではこのアプリをそのまま案件管理アプリとして使うことができない理由があった。
「勘定科目など、会計に必要なデータをルックアップで紐付けて持ってくる場合、担当者に会計の知識がないとどの値を選択すればよいのかわかりません。手入力はミスが発生してしまいます。もちろん、すでに案件管理業務で利用しているアプリは継続して使いたい、ということもあります。そうすると、自ずと「会計freee」と連携するためのアプリと、実運用で使うアプリを分けることになりました」(四宮氏)
案件アプリには、見積り中のものも失注したものも含まれているが、「会計freee」に登録するのは今月受注し売上計上するものだけになる。そのデータを抽出する仕組みが必要になるのだが、そこを「krewData」を使って解決したというわけだ。
kintoneと「会計freee」を併用している企業では、kintoneは案件や受発注の管理に留め、請求管理は「会計freee」を利用することも多いだろう。もちろん、その場合も「krewData」で「会計freee」に連携するための請求データを作り「free for kintone」の請求データ連携を使って請求データをfreeeにアップロードして請求作業を「会計freee」で行えばいい。
四宮氏によるとkintoneとfreeeを併用する際にkrewDataが活躍するポイントは他にもあるという。実は「会計freee」の取引先マスターは販売先なのか仕入れ先なのかの区別がない。受注管理と発注管理の双方をkintoneで行っている場合、「会計freee」に収支を登録するには仕入れ先と販売先のマスターを取引先マスターに集約しなければならないが、krewDataを使えばそれが簡単に解決できるとのこと。
なお、ジョイゾーでは仕入れ先マスターはないのだが、それでも取引先マスターを「krewData」で作っている。すでに使っている顧客マスターは色々なアプリからルックアップされているので、「会計freee」の取引先マスターアプリに運用を移行するのは無理。さらに、顧客マスターを開く度に、設定している「会計freee」の認証を求められると、会計処理とは関係ないユーザーの手を煩わせることになるからだそう。ユーザーが使いやすいように気を配っているのが流石だ。
freeeとの連携以外の業務でもジョイゾーでは「krewData」を利用している。メールマガジンを顧客や見込み客に配信する際、エラーになったメールアドレスを配信リストから無効にしたり、セミナーを共同開催する際、内側のアプリに集約された情報をゲストスペースのアプリに入れて共有したりして活用しているという。
【効果】krewDataで請求情報の入力を自動化! 細かい経営分析もできるようになった
「krewData」を導入したことで、「請求管理」アプリから明細を取り出して税込金額とセットし、会計freeeから取引先IDや品目ID、勘定科目、税区分などを引っ張ってきて仕訳データを作れるようになった。後は、「freee for kintone」で「会計freee」と連携すればいい。
「以前の会計サービスでは手動で入れていましたし、そもそも細かい管理ができていませんでした。今では、いろいろな経営分析ができるようになったのもメリットです」(四宮氏)
ジョイゾーでは経営指標の確認に「krewDashboard」を利用しているそう。その際、今月の売り上げ見込みなどを複数のアプリから直接計算することはできないので、「krewData」でまとめているという。
「「krewData」はアイディア次第でいろんな使い方ができると思っています。例えば、他のアプリを参照しデータを取得するルックアップはただ値をコピーするだけなので、参照元の値が変わった時にルックアップの値が変わらないで困っているという声はよく聞きます。この課題を解決するプラグインは他にもありますが、「krewData」でもできます。更新したいデータと更新したくないデータを使い分けるのも「krewData」なら簡単ですね」(四宮氏)
画面を見せてもらい、話を聞いているだけでは、ハイレベルな活用に思えるが、「kintoneのプロだからできるという感じではありません。krewDataの特性に慣れてしまえば、普通のユーザーさんでもできると思います」と四宮氏。「krewData」はGUIベースで操作しやすく、プログラミングができない人でも高度な集計が行えるのだ。
最後に、今後の展望について伺った。
「今後は、kintoneと「krewData」に「Joboco(ジョボコ)」も連携させていこうと思っています」(四宮氏)
「Joboco」はkintoneとLINE WORKSを組み合わせて、チャットボットを手軽に作れるサービスだ。チャットボットの対話シナリオを自分で設定でき、商品の在庫確認や顧客連絡先の確認などが行えるようになる。ブラウザから作業できるので、プログラミングは不要。kintoneやLINE WORKSの環境をそのまま利用できるのも特徴だ。
「とある自動車販売店の事例では、従業員に年配の方が多いので、売り上げを簡単に入力するためにLINE WORKSを使っています。入力した売り上げや商談件数はkintoneに入り、「krewData」を使って、店舗ごとの1週間の集計などを行っています」(四宮氏)
2020年11月5日、「krewData」に「リアルタイム実行プラン」がリリースされた。kintoneのWebhook機能を利用して、「krewData」を即時に実行できる機能で、四宮氏はこちらにも興味津々だ。
「リアルタイム実行なら、契約の条件に応じて請求書を作るタイミングを変えられると思いました。年額契約をもらった時は、その時点で請求書を発行して送れたらいいな、とは思っていました。今までは、まとめて行うか手動で行っていたのです。レコードの条件に合わせて、実行タイミングを変えられるというのはありがたいですよ」(四宮氏)
kintoneのプロが自分たちの課題を解決するべく、kintoneと他のサービスを連携させる際、データを集約するために「krewData」を活用するという事例だった。無理に連携サービスのためにkintoneの運用を型にはめるのではなく、「krewData」を使う前提でkintoneを自由に運用した方が便利というわけだ。
会計への登録業務を大きく効率化できたジョイゾーは、さらにたくさんの依頼を受けても問題なく請求業務と会計処理を遂行できることだろう。