公開日:2025年11月12日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
DX推進で業務効率化を向上させながら企業の労務管理を支援している福岡社会保険労務士法人では、助成金申請に関する業務管理の徹底に向けてkintoneを導入、業務活用の幅が広がるなかで蓄積された情報を使い、売上集計や予実管理、工数管理など経営判断に必要な各種情報を可視化するためにkrewDataやkrewDashboardを活用している。その経緯について、代表社員で社会保険労務士の村里 男樹氏、株式会社SACCSYの代表取締役 行武 正剛氏にお話を伺った。
課題
勉強会で出会ったkintone、助成金管理業務を強化することを目指す
1968年に創業し、顧客の発展に向けた提案型の活動によって人事労務を総合的に支援している福岡社会保険労務士法人。人事・労務・助成金に関連した企業の課題に応えるべく、社会保険・労働保険手続や給与計算のアウトソーシングをはじめ、助成金申請や労務関連の各種クラウドサービス導入支援、評価制度構築コンサルティングなどさまざまなサービスを提供している。創業50年超の実績と経験を武器に、労務・手続き・助成金など各分野のプロが専任で対応する体制を整備しており、勤怠管理や労務管理など多様なクラウドサービスの導入を通じて企業のDX支援を行っている。また、オンラインツールを駆使して全国の企業に対して迅速かつ柔軟なサポートを手掛けている。
そんな同法人では、企業をはじめとした団体が行う特定の活動や事業を支援するために、審査などの手続きを経て提供される各種助成金の申請支援を長年行っているが、特にコロナ禍のタイミングでは年間800件を超えるなど申請業務が急増したという。
「従来はGoogle スプレッドシートを使って管理していましたが、助成金によって申請ルールが異なるため、申請期限切れや入力漏れなどのリスクを抱えていました」と村里氏。申請件数の急増で管理業務を強化する必要が出てきたなか、申請期限などがきちんと通知できる仕組みを検討することになった。
そんな状況下で全国の社労士が集まる勉強会に参加したときに紹介を受けたのが、サイボウズのkintoneだった。
「情報管理が徹底でき、申請期限が迫ったタイミングで必要な通知が受けられるなど、我々が求める運用が可能だと考えたのです」と村里氏は当時を振り返る。
そこでトライアルを経てkintoneを導入し、助成金申請管理のアプリを村里氏が自ら作成して運用を開始した。その後、さらなるkintoneの活用を視野に入れ、株式会社SACCSYに支援を相談。ノーコードで開発できるkintoneを生かし、顧客管理としてのCRMや営業支援につながるSFAといったさまざまなアプリの開発をSACCSYとともに進めていったという。

選定
kintone内の情報可視化に優れたkrewシリーズに注目
多くのアプリを開発して法人内に展開していくなかで課題となったのが、kintone内に蓄積された情報の可視化だった。
「kintoneでカバーする業務領域が広がり、売上数字など情報が溜まり始めました。ただ、経営判断にいかすためにExcelで集計・可視化していたのです。せっかくkintoneに情報があるのであれば、そのなかでうまく可視化できないか検討したのです」と村里氏。
そこで、株式会社SACCSYの代表取締役の行武 正剛氏から提案があったのが、メシウスが提供するkrewDataやkrewDashboardだった。
「kintone内での可視化であれば、krewDashboardが機能的に最も秀でていますし、我々の取り扱い実績からも十分役立つと考えました。村里さんは、さまざまな観点から業務の状況を把握したいと考えていたため、複数のアプリからデータを集めて視点を切り替えたり、全体をリッチなダッシュボードで表現したりできるkrewDashboardをお勧めしたのです」と行武氏。

そして、krewDashboardを使うためには、複数のアプリから情報を集約して加工などを行う必要があるため、セットでkrewDataも提案したという。実は村里氏自身もkrewシリーズを他社で見た経験があった。
「情報が分かりやすく可視化でき、期間や対象者で簡単にソートして容易に分析できるなど、これまで見てきたkintoneとは全く違う動きができることに感動した記憶があります。提案を受けた段階で、ぜひ使ってみたいと考えたのです」と村里氏。krewシリーズを使えば、これまでは必要な情報を1つずつCSVでダウンロードしてExcelに貼りつけて作り直すといった手間もかからなくなる点を高く評価したという。結果として、kintone内の情報を可視化して経営判断に役立てるためのソリューションとして、krewDataおよびkrewDashboardが採用された。

効果
売上情報や顧客別の工数など経営判断に役立つ情報をダッシュボード化
現在は、30名を超える全職員がkintoneにアクセスし、日々の業務に役立てている。運用しているkintoneアプリは140ほどとなっており、Googleカレンダーや電子契約サービスのクラウドサインといった外部サービスとの連携が行われている。運用しているアプリには、kintoneを導入するきっかけとなった助成金申請管理のアプリをはじめ、共通アプリとして顧客管理や電話・ご来所引継、顧客対応管理、反響管理といった営業系のアプリとともに、固定報酬管理や給与計算報酬といった会計系アプリ、そしてFAQといった各種アプリを展開。他にも残業申請やタスク管理、カレンダーなど社内業務に関連した多くの業務アプリを運用している。それでは具体的な活用例を見ていこう。
多角的な視点で可視化された売上集計
krewシリーズの活用例としては、業務別に記録されている売上情報をkrewDataで各アプリから収集し、krewDashboardにて可視化できるように加工している使い方だ。給与計算やスポット管理内の報酬データを売上データとしてまとめ集計アプリで表示している。
「担当者や時期をはじめ、顧問料やスポット報酬といった種別で売上状況をシンプルに可視化できるようにしています。担当者それぞれが追いかけるべき目標は評価アプリ側で見ています」と村里氏。
表形式の表示だけでなく、個人ごとは棒グラフで、チームごとでは円グラフでといった、可視化したい内容に応じてビューを切り替えることが可能になっている。

▲顧客情報、担当者ごとの売上、スポット報酬などを集約した実際のkrewDataのデータ編集フロー図

▲集計アプリをkrewDashboard可視化した売上情報。構成比やチームごとの月別推移を表している

▲集計アプリを担当者別の売上をkrewDashboardで可視化したもの
日報から各社労士の時間ごとの工数を可視化
また案件ごとの売上金額と日報アプリからかかった工数を付け合わせ、顧客ごとにどの程度工数が発生しているのかを可視化する時間集計アプリでもkrewDataおよびkrewDashboardが使われている。
「現在はお客さまごとにどの程度時間を割いているのかといった工数の生産性を可視化しています。価格交渉の材料として活用することはもちろん、いずれは教育的な観点から作業内容を分析して指導するための情報として活用していきたい」と村里氏は力説する。顧客ごとの工数を把握することで、限られたリソースをどう配分していくのかといった経営判断にも利用していくという。

▲集計アプリと日報から工数を算出しているkrewDataのデータ編集フロー図

▲工数アプリをkrewDashboardで可視化。顧客ごとの時間単価と工数を月別で確認できる
案件の起点や反響などの振り返りができるマーケティング集計
他にも、顧客管理など各種アプリから情報を収集し、期初に事業計画を組んで顧客別にどの月に何の売上が発生したのかを可視化し、販促活動につなげていくためのマーケティング集計にもkrewシリーズが役立っている。
「どこから案件が発生したのかの問い合わせ導線とともに、月別の新規受注や解約などの状況を過年度含めて可視化しています。問い合わせの導線からどんなコンテンツをホームページに展開していくことが最適なのかといったマーケティングとしての分析に活用しています」と村里氏。

▲マーケティング集計のkrewData編集フロー図。顧客情報アプリから契約期間や受注状況を集計

▲マーケティング集計アプリを可視化したkrewDashboard。反響数や問い合わせ内容を確認できる
戦略立案の時間確保に貢献、メンバーのDX推進にもkrewシリーズが一役
krewシリーズを導入したことで、経営判断につながる各種情報が容易に可視化できるようになったことで、データドリブンな経営に向けた環境整備が実現できている。
「データ分析するための前処理作業が不要になり、データから戦略を練るといったことに時間をかけられるようになったのは最も大きな効果です」と村里氏は評価する。また、各種情報がリアルタイムにダッシュボード化できることで誰でも閲覧可能となり、自分で工夫して業務に取り込むスタッフが増えてきたことも大きな効果の1つだという。まさに情報活用によって業務変革につなげるDX推進が法人内でも実現できていることの証左と言えるだろう。

krewシリーズについては、kintoneそのものの活用をさらに加速させる存在として重宝しているという。「kintoneの連携サービスは山ほどありますが、その中でもkrewシリーズは唯一無二の存在です。クオリティも高く、連携サービスのなかでは投入実績もトップクラスのため、我々としても提案しやすいソリューションの1つ。krewシリーズのような高性能な連携サービスがあることがkintoneの持つ魅力とも言えるでしょう」と行武氏は評価する。
実際にアプリを開発しているSACCSYの担当者は「kintoneを活用するお客さまは増えていますが、いまだに手元にあるExcelでデータ管理しているケースは少なくありません。kintoneでアプリ化したその先で、予実管理など複数のアプリの情報を付け合わせての集計などには、krewシリーズが欠かせない存在です」と評価する
メシウスの充実した支援体制に関する評価も高い。「困ったことがあればサポートチームからすぐに支援いただけていますし、頻繁にアップデート情報があるなど、欲しい機能が次々と実現できている印象です。ヘルプページはもちろん、krewDataドリルなどの学習コンテンツも豊富にあるため、その内容を応用して必要な機能が実装しやすいなど、とてもありがたい」と行武氏は述べる。
kintoneの導入支援を手掛けているSACCSYについては、「メンバーのレベルが非常に高く、気遣いもしっかりしてくれます。まさに我々が求めている機能を再現いただいており、とてもありがたい。手厚い支援のおかげで、管理部門やマーケティング領域でも活用もどんどん広がっています」と村里氏は高く評価する。
事業拡大に向けた情報分析、krewシリーズで経営情報の可視化をさらに加速させたい
さまざまな取り組みにチャレンジしている同法人だが、顧客分析を通じて価値提供できる相手をしっかり検討していきながら、さらに事業を拡大させていきたいという。「どうしてもリソースが限られているため、kintoneおよびkrewシリーズで得られた情報を可視化、分析していることで、さらなる価値提供につなげていきたい」と村里氏は意欲的だ。経営判断に必要な情報の可視化はまだ道半ばにあるため、今後もkrewシリーズが活躍する場面は多いと期待する。
また、現状は助成金など国に対して電子申請による手続きが必要で、kintoneとの連携が十分に行うことが難しい。うまく連携できるアプローチを検討していきながら、さらなる業務効率化につなげていきたいという。未導入のkrewSheetに関しては、現状進めているさまざまな取り組みがひと段落した段階で、次のステップで必要に応じて検討したいと今後について語っていただいた。
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