導入事例
株式会社DDホールディングス様
業種:
宿泊業・飲食サービス業
利用用途:
申請承認・情報共有
使用製品:
krewSheet
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
統制の取れていなかったkintoneを使い倒して業務基盤を整備
インターフェースの課題解消に貢献するkrewSheet
飲食事業やアミューズメント事業を手掛けている株式会社DDホールディングスでは、Excelによる非効率な業務からの脱却を図るべく、以前から導入していたkintoneを有効活用することで業務基盤の再整備を実現。その過程で、これまで利用してきたExcelが持つ使い勝手を求める経営層やマネージャに対して、グレープシティのkrewSheetを活用している。その背景について、管理本部 グループ情報システム室 寺田 勇介氏にお話を伺った。
【課題】乱立したkintoneアプリが300超、業務システム担当のSE不在で基盤整備に着手
店舗運営を重視するために、部分最適化された仕組みが社内に散見
既存の枠組みにとらわれない発想をもとに革新的な商品やサービスを創出するべく“世界に誇る「オープンイノベーション企業」”をビジョンに据え、居酒屋やレストラン、ウェディングをはじめとした飲食事業を中心に、ビリヤードやダーツ、複合カフェといったアミューズメント事業なども展開している株式会社DDホールディングス。現在は、持続可能な成長に向けてシナジーを高めるべく、セグメントごとにグループ会社の統廃合を進めながら経営合理化を推進しており、店舗当たりの収益強化を図るためのさまざまな施策に取り組んでいる。
飲食店を中心にさまざまな業態の店舗を展開している同社では、これまで部門ごとに必要な業務システムを独自に構築してきた経緯がある。「店舗運営を重視しているため、基幹システム以外の業務システムは、部門ごとに最適化された形で導入、運用してきました。確かに乱立した状態ではありましたが、現場での使いやすさを重視して環境整備が行われてきました」と寺田氏は語る。ただし、その多くはExcelを活用したアナログな手法で業務が行われるケースが多かったという。
そんな同社は、M&Aによってさまざまな企業をグループに招いているが、統一された業務システムが社内に整備されていないことでの課題も顕在化してきていた。「グループ入りした企業のやり方を尊重しながらも我々の環境に合わせていく必要がありますが、どうしてもアナログな処理を強いてしまう場面も少なくなった。そもそも業務系を担当するSEが不在の状況が続いていたことで、誰にでも使いやすいExcelが業務の中心になっていたのです」。そんな状況下で寺田氏が同社にジョインし、グループ全体で活用できる業務システムの整備を進めることになったのだ。
業務形態や業種業態が異なるグループ企業に展開するにはkintoneだけでは不十分
まずは状況を把握すべく、座席表を片手に業務の困りごとを現場にヒアリングしていった寺田氏だが、その過程で施設管理の仕組みとしてkintoneが導入されていることを知ったという。「業務の効率化に向けて環境を整備するにも、業務システムへの予算が十分になく、大がかりな仕組みを導入するのも難しい状況でした。そこで、前職での経験から導入済みのkintoneを使い倒していこうと考えたのです」と当時を振り返る。ただし、その段階で300ほどのkintoneアプリが日々の業務に活用されていたが、同じ情報を管理するマスターアプリが複数存在したり業務アプリがそれぞれ独立していたりなど、統制の取れた環境ではなかったという。
そこで、kintoneに適した業務の見極めやプラグインも含めた業務システムの整備を推し進めた寺田氏。その結果、グループ全体の業務基盤として広くkintoneが認知されることなるが、そこで新たな課題が顕在化した。「各種申請承認のフローをkintoneアプリで動かしたところ、店舗を管理するマネージャや役職者など承認を行う上長から、一覧画面からのチェックがしづらいという声が挙がってきたのです」。Excelに慣れた上長が多かったため、編集モードで申請ごとのレコードを開いて承認していくkintoneの操作が煩わしいだけでなく、一覧で表示された情報をコピーして活用できないなど、使い勝手の面から不満の声が寄せられることになったのだ。確かに一部の部署では業務の見直しで対応できるものの、全社規模で統制の取れた環境での利用は難しい状況だった。「業務形態や業種業態が異なるさまざまなグループ企業に対して、1000名以上の規模でkintoneを定着させることが必要です。使い勝手の課題を解決しないと、全社への展開は難しい状況でした」と寺田氏は課題を吐露する。
【選定】ITに詳しくないメンバーでも使えるExcel同様の入力性と視認性を持つkrewSheetがジャストフィット
課題解消に向けた手法はいくつか検討できたものの、インターフェース自体はできる限り統一したいという考えもあり、kintoneを使って操作性や視認性を高める方法を検討した寺田氏。当初はスプレッドシート形式で表示できる無償プラグインを組み合わせたが、アプリごとに見た目や機能が個別最適化されてしまうことが判明。
「たとえExcelのように表示できたとしても、ウィンドウを固定させたり全画面表示ができたりといった、Excelならできた機能が実現できず、なかにはプラグイン同士がバッティングして表示がうまくいかない、消込処理などで生かしたい計算式が使えないといった課題も。このまま現場に展開しても、うまくいかない可能性があったのです」と寺田氏。
そこで寺田氏が目を付けたのが、グレープシティが提供するkrewSheetだった。「前職で取り扱ったことがあり、まさにExcelのようにかゆい所に手が届くプラグインだと考えたのです。それぞれの現場で指摘された課題に対して、トライアルで試用可能なkrewSheetを持ち込んで確認していったところ、これなら使えると現場から認めてもらえたのです」。ITに詳しくないメンバーが多くいる現場があるなかでも共通理解があったのが、使い勝手の優れたExcelだった。単にインターフェースが似通っているだけでなく、入力性や視認性がExcel同等に担保されたkrewSheetは、まさに同社にとってジャストフィットだったのだ。
無償プラグインではないため、プロジェクトにおける追加予算の申請が必要だったが、kintoneだけでは使い勝手の課題が解消できないため、業務基盤として使っていくためには必要だと経営層も判断。結果として、kintoneによる業務基盤の整備に欠かせないプラグインとしてkrewSheetが正式に採用されることになる。
【効果】kintoneの使い勝手改善に大きく役立つkrewSheet、全社展開への起爆剤に
一覧での参照時に役立つkrewSheet、kintoneにはない視認性の高さを評価
現在は、申請系やマスター系のアプリを中心に400ほどのkintoneアプリが作成されており、入社や異動に関連した人事業務の各種申請をはじめ、店舗の修繕依頼や備品発注、新規の仕入れ先登録、取引先に関する反社チェックといった幅広い業務に使われている。また、受発注システムや勤怠システム、会計システム、入社処理システムといった、さまざまな外部システムとの連携も進められている。マスター系のアプリでは、会社や組織、仕入れ先をはじめ、契約書や土地賃貸借などといった各種マスターがkintoneアプリにて管理されている。これらアプリのうち、3分の2ほどのインターフェースにkrewSheetが活用されており、マネージャや本社スタッフを中心に1,200ほどのアカウントで運用されている。
新たな業務基盤をkintoneで整備したことで、電話やExcelなどでやり取りしていた情報がkintoneに集約でき、整備されたマスターを活用することで二重入力を防ぐなど業務効率化に大きく貢献している。また、押印申請などの業務が可視化できたことで、無駄なフローを簡略化するなどBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング:プロセスから見直す業務改革)にも一役買っている状況だ。もちろん、システムによるワークフローによって状況把握が容易になり、統制の取れた業務フローが整備できたと寺田氏は評価する。
krewSheetに関する具体的な活用については、例えば店舗の賃貸借条件が記録されている土地賃貸借マスターから次の契約更新のタイミングを確認し、売上などの状況から更新可否の判断を行ったり、契約更新時には交渉材料として契約書マスターを参照したりといったシーンだ。krewSheet上で関連レコード情報を1画面で閲覧できるなど、kintone標準にはない視認性の高さが高く評価されており、このアプリが実装できたからこそテレワークが可能になった部署もあるほどだ。
属人的なExcelを排除、使いやすい検索パネルを全てのインターフェースに適用したい
テレワーク環境が常態化している今でも、krewSheetが大いに役立っているという。「コロナ禍においては営業時間の変更など感染状況や行政からの要求に応じて柔軟に店舗運営をせざるを得ません。以前は物流購買での仕入れやアルバイトのシフト管理などを行っていたExcelがメール内で飛び交ってしまい、どれが最新の情報が判断付かないケースもありました。今はkrewSheetで管理できるようになり、いつでも最新情報が共有されています。このことで、krewSheetの活用が全社規模にまで拡大しました」と寺田氏。ExcelライクなkrewSheetのおかげで、今では既存のExcel業務をkintoneに置き換えられないかという相談が黙っていても来るようになっているという。「Excelによる属人的な管理をやめたいと考えている人は管理職を中心に少なくない。まさにkrewSheetがその要望をかなえるためのツールとして注目されています」。
特にkrewSheetに関しては、上部にレコードを絞り込むため検索パネル機能が好評で、一覧画面に表示していないフィールドを対象にキーワード検索できるなど、非常に重宝しているという。実は同社が展開する事業の特性上、店名が複雑なケースもあり、これまでは必要な情報を見つけづらい状況が続いていた。そこで、検索用のフィールドをアプリ内に用意して、関連ワードもタグ的に登録。簡単に検索から目的の情報にたどり着けるよう工夫している。「kintone標準の検索ではアプリによって使いづらいこともありましたが、krewSheetの検索パネルは非常に使いやすい。いずれは、全てのkintoneアプリのインターフェースをkrewSheetに統一したい」と寺田氏は力説する。
また、編集権限の付与や詳細画面のポップアップ表示、条件付きの色分けといったExcel以上の機能がWebブラウザで実現できるなど、krewSheetが持つ利便性の高さを評価している。他にも、画面上から簡単にコピー&ペーストできたり、検索上は必要だが普段は見せたくない情報を非表示にしたりなど、情報の活用や出し分けの柔軟性など使い勝手の高さはkrewSheetが持つ魅力の1つだという。「機能面はもちろんですが、グレープシティのサポートについても高く評価しています。連絡すればレスポンスよく回答、対応いただける場面が多く、安心して利用できています」。
外部システム連携を通じて業務のさらなる効率化を推進、krewシリーズの展開も期待
今後については、kintoneと外部システムとの連携をさらに進めていきながら、さらなる業務の効率化につなげていきたい考えだ。「手作業でCSVに落とし込んだうえでデータを加工し、基幹システムに展開するといった業務は今でも残っています。今後は夜間バッチで自動的にデータ投入できるような環境づくりも進めていきたい」と寺田氏。その過程では、複数アプリのデータ集計やデータ加工のプロセスが可視化できるようなkrewDataなどのプラグイン活用も視野に入れているという。
また、krewDashboardなどを用いてkintone内の情報をグラフィカルに表現することで、経営会議やマネージャ会議でも情報共有しやすい環境を整備していきたいという。「今はデータをダウンロードして加工したりExcelを印刷して持ち込んだりするケースも。社内のリテラシ教育も同時に行いながら、kintoneおよびkrewの活用シーンをさらに増やしていきたい」と寺田氏に意気込みを語っていただいた。