導入事例

美ら海水族館・首里城の運営現場で進むkintone活用。
多言語の来場者アンケート集約や収入実績管理などの効率化を支えるkrew

一般財団法人沖縄美ら島財団

業種生活関連サービス業・娯楽業
部門総務・人事
利用用途アンケート・調査
製品krewSheetkrewData
記事の要約

お客様の事業

一般財団法人沖縄美ら島財団は、沖縄美ら海水族館をはじめ、海洋博公園や首里城公園など、沖縄の自然・文化資源を生かした公園施設を管理運営する法人です。総合研究所を中心に、亜熱帯性動植物や海洋生物、歴史・文化の調査研究、技術開発、教育普及活動にも取り組んでいます。

どんな業務に活用?

  • 5言語で収集する来場者アンケートの集約
  • 各施設の予算・目標・売上実績の管理
  • その他、現場業務の情報管理

課題

  • アンケート回答が5言語あり、施設別・言語別の約100アプリに分かれて集計に毎週1時間以上かかっていた
  • アンケート項目を変更するたびに集計用Excelマクロの修正が必要となり、対応が特定の担当者に集中していた
  • 外国語に対応できる人員の確保が難しく、施設業務と並行して行うアンケート集計が現場の負担になっていた
  • 施設の売上実績など、数字を扱う業務データの多くがExcelで管理されており、kintoneへの移行後も現場が無理なく入力・確認できる操作環境が求められていた

krew活用のポイント

各施設の予算・目標・売上実績の管理では、Xrossモードで施設ごとの予算・目標・売上実績を集計表示し、関連シートで月別実績を確認できる。

施設別・言語別のアンケート回答アプリからデータを取得し、各言語の選択肢を対応する日本語の値へ置換して、1つのアプリへ自動集約。

効果

5言語、100アプリのアンケート集約作業

週1回1時間 → 自動化

施設ごとの予算・目標・売上実績

1画面で詳細まで把握

週1回、少なくとも1時間以上かかっていた5言語のアンケート集約作業が自動化できました。各言語に対応する人員を新たに確保する必要もなくなり、兼務していた職員を本来の施設運営業務へ振り向けやすくなった。

施設ごとの予算・目標・売上実績では、Excelに近い画面で集計表示し、月別の実績も確認できるようになった。数値の入力・修正を一覧上で行えるため、現場の操作負担を抑えながら、収入実績管理をkintoneへ移行できた。

業務変化

  • 複数アプリのCSVをExcelマクロで集計していたが、5言語の選択肢を日本語へそろえ、1つのアプリへ自動集約できるようになった
  • アンケート結果の共有に時間がかかっていたが、来場者の声を早く現場へ届け、運営改善の気づきにつなげられるようになった
  • 各施設の予算・目標・売上実績の管理では、科目毎の予算と目標、実績が1画面で確認できるようになった

一般財団法人沖縄美ら島財団は、沖縄県内の国営・県営公園や観光施設の管理運営、亜熱帯性動植物や沖縄の歴史・文化に関する調査研究、普及啓発活動などを展開している。同財団では、業務プラットフォームとして利用するkintoneの利便性を高め、現場の業務改善を進めるため、Excelに近い操作性を備えたkrewSheetと、複数アプリのデータを自動で加工・統合できるkrewDataを導入した。導入の背景や活用方法、得られた効果、今後の展望について、総務課 課長補佐の神里 直氏に話を伺った。

一般財団法人沖縄美ら島財団について

「美らなる島の輝きを御万人(うまんちゅ)へ」という経営理念のもと、沖縄美ら海水族館をはじめ、海洋博公園や首里城公園など沖縄の豊かな自然や文化資源を活かした公園施設の管理運営を担う法人です。財団内に設置された総合研究所を中心に、亜熱帯性動植物や海洋生物に関する専門的な調査研究、技術開発、教育普及活動を推進している組織です。

※「御万人(うまんちゅ)」とは、沖縄の方言で「万人、みんな」という意味です。

課題

【課題】Excelに慣れた職員が無理なくkintoneへ移行できる環境が必要

公開日:2026年11月4日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

1976年に設立された般財団法人沖縄美ら島財団。50年近くにわたり、沖縄県内の国営公園の管理運営や、生物・文化に関する調査研究などを手掛けてきた。国や県から管理運営業務を受託し、国営沖縄記念公園(海洋博公園・首里城公園)、沖縄美ら海水族館をはじめとする沖縄を代表する施設の管理運営を担っている。

また、財団の総合研究所を拠点に、亜熱帯植物、海洋生物、沖縄の歴史・文化などを研究。得られた成果をワークショップなどを通じて地域社会へ還元する普及啓発活動にも力を入れている。

同財団では10年以上前から、社内の情報基盤としてサイボウズ Officeを利用していたが、職員数の増加を受けてサイボウズ Garoonへの移行を計画した際、サイボウズ Officeのカスタムアプリ機能で運用していた簡易的な台帳を、別の環境へ移す必要が生じた。

ExcelやFileMakerへ戻す選択肢も検討したが、ファイル単位の管理では情報共有や業務効率化に限界がある。そこで、各種台帳や業務データを組織で共有し、将来的なデータ活用にもつなげられる基盤としてkintoneを採用したという。

移行に当たって懸念されたのが、Excelに慣れた職員への対応だった。財団には、バックオフィス部門だけでなく、飼育や施設運営など多様な職種の職員が在籍している。日常的にPCを使う職員がいる一方、PCを操作する時間が1日1時間に満たない現場担当者もおり、ITリテラシーには幅があった。

「数字を扱う業務データの多くはExcelで管理されていました。いきなりkintoneの画面へ切り替えると、現場が使いにくいと感じ、入力が進まなくなる恐れがありました。レコードを1件ずつ開き、編集して保存する操作も、Excelに慣れた職員にとっては負担になり得ます」と神里氏は振り返る。

神里 直様総務課 課長補佐

選定

Excelに近い操作性を実現するkrewSheetと、5言語のアンケート統合を自動化するkrewData

そこで、kintone上で利用できるプラグインを検討するなかで注目したのがkrewSheetだった。

「初めて見たときに、まさにExcelのようだと感じました。当時、Excelで使っていたすべての関数を再現できたわけではありませんが、今後のアップデートにも期待して導入しました。クラウドサービスなので、まず試し、合わなければやめられるという始めやすさもありました」と神里氏は話す。

その後、新たな課題を解決するために導入したのがkrewDataである。国や県から公園・施設の管理運営業務を受託している同財団では、管理する施設の状況を国や県へ報告する業務があり、その一環として、施設を訪れた来場者の声をアンケートで収集し、報告している。

当初は紙のアンケートを回収し、職員が回答をkintoneへ転記していた。しかし、沖縄美ら海水族館や首里城公園などには海外からの来場者も多い。日本語、英語、韓国語、簡体字、繁体字の5言語に対応するため、各言語を理解できる人材の確保や、手入力にかかる時間が課題となっていた。

そこでWebフォームを作成できるプラグインを導入し、来場者が自らスマートフォンで回答できるようにした。紙からWebフォームへ移行したことで転記作業はなくなったが、データが言語別・施設別のアプリへ蓄積されるため、それらをまとめる作業が新たな負担となった。

アンケートは施設単位だけでなく、展示エリアやイベントごとに実施する場合もある。5言語分を合わせると、回答を受け付けるアプリは全体で100前後に及んだ。紙をWeb化したことによって、業務の軽減効果を実感した現場では手作業を見直す機運が生まれ、複数アプリに登録されたアンケート結果の統合を自動化できるのではないかという次の改善につながった。

最初は、各アプリから出力したCSVをExcelマクロで読み込み、集計していた。しかし、アンケート項目が変更されるたびにマクロを修正する必要があり、その対応が神里氏に集中していた。カスタマイズによる対応も検討したが、保守の属人化を避けながら複数アプリを扱える方法を探すなかで、メシウスのkrewDataを選定した。

活用

施設の収入実績管理と、多言語アンケートのデータ集約に活用

■krewDataで施設数 ✕ 5言語のアンケート情報を自動集約

来訪者へのアンケートは、施設に掲示したQRコードを来場者がスマートフォンで読み取り、言語選択ページから日本語、英語、韓国語、簡体字、繁体字のフォームを選んで回答する。送信された回答は言語ごとに用意されたkintoneアプリへ保存する仕組みである。

その後、krewDataが各アプリの回答を取得し、各言語の選択肢に対応する日本語の値へ置き換えるなどの加工を行ったうえで、1つの統合アプリへ集約する。アンケートは選択式で、多言語版では翻訳が必要となる自由記述を原則として設けず、確実に集計できる設計としている。

統合後のアンケート結果は、来場者の声として施設内のメンバーに共有し、運営改善を検討するために使われる。また、国や県への報告では、統合アプリからCSVを出力し、Excelマクロで指定様式の報告書へまとめているそうだ。

「今後は、数値だけでなくグラフを含む帳票まで出力できれば、kintone内で報告書作成を完結できます。そこが今後の理想です」と神里氏は話す。

■krewSheet Xrossモードで各施設の売上実績を管理

krewSheetは、Excelで行っていた数値管理をkintoneに移行する際に活用している。代表例が、財務部門が運用する施設ごとの収入実績管理アプリだ。当初予算、実績、現時点での見込みなどをkrewSheetのXrossモードで集計表示し、関連シートでは各収入の月別の実績を確認できる。

「各施設の売上は、POSシステムのスマレジに入ったデータをkintoneに取り込んでkrewSheetで表示しています。科目毎の予算と目標、実績がExcelのように確認できるので重宝しています。今後は、売上データをkintoneへ連携し、krewDataで集約する仕組みを進めています」と神里氏は説明する。

▲krewSheetのXrossモードを適用した実際の画面

■日常的な業務で使うデータの取得やメンテナンスにもkrewSheetを活用

システム部門では、IPアドレス管理アプリにもkrewSheetを適用している。一覧上で連続して入力・修正できるほか、セルの色を変えて状態を視覚的に把握できるため、台帳を管理しやすい。1000件規模のデータでも、レコードを1件ずつ開いて保存する必要がなく、日常的なメンテナンスの負担を抑えられる。

また、同財団が主催する沖縄国際洋蘭博覧会では、審査員がWebフォームから入力した点数をkintoneへ集め、krewSheet上で作品の順位をすぐに確認できる仕組みを、イベント期間中にスポットで活用した。短時間で結果を確定する必要がある業務にも、krewSheetの一覧性が生かされている。

現在、PCを利用する約400人の職員がkintoneのアカウントを持ち、日々の業務で利用している。テスト用や一時利用のものを含め、900を超えるアプリが存在し、日常的に利用されているアプリは100前後に上る。アプリの作成権限は各部署へ展開され、約60人が作成権限を持つ。

開発ルールはグループウェア上で周知し、原則としてテスト用スペースで作成した後、本番用のスペースへ移す運用としている。システム部門では定期的に利用状況を確認し、長期間使われていないテストアプリなどを整理することで、現場主導の開発とガバナンスの両立を図っている。

効果

データ統合を自動化し、現場が来場者の声を素早く活用できる環境へ

krewDataの導入により言語別・施設別に分かれていた複数の回答アプリからデータを集め、日本語の項目にそろえて統合する処理を自動化した。従来、週1回行っていた集計は、5言語のデータをそろえる作業を含めると、少なくとも1時間以上かかっていたという。その作業時間が削減され、各言語に対応できる人員を新たに確保する必要もなくなった。

また、データを統合して現場へ共有するまでの時間が短くなり、来場者の声を以前より早く確認できるようになった。改善そのものには内容に応じた検討が必要だが、課題に気づき、対応を始めるまでのスピードを高める基盤が整った。

「アンケートの集計は専任者がいたわけではなく、各施設で来場者の応対や、問い合わせ電話への対応、書類整理、稟議書の作成などの業務を行いながらアンケートの集計を行っていました。定期的に発生する作業を自動化したことで、限られた人員を本来の施設運営業務へ振り向けやすくなりましたし、現場にアンケート結果を共有することで、気づきを得て対応する意識も上がったようです」と神里氏はkrewDataの効果を語る。

krewSheetでは、Excelに慣れた職員も従来に近い感覚で操作できるようになり、kintoneへの移行時に生じる抵抗を抑えながら、早期に運用へ乗せることができた。さらに、一覧上で複数のデータを連続して入力・修正できるため、レコードを1件ずつ開いて保存する操作が不要になった。件数が多い台帳や数値データほど、日常的なメンテナンスの効率化につながっている。

「kintoneで難しいのは、画面の見た目を業務に合わせて作り込むことです。JavaScriptでExcelのような画面を実現しようとすると、相当な工数がかかります。それをプラグインで実現できるkrewSheetはとても重宝しています」と神里氏は評価する。

製品の継続的な機能拡張も評価しているという。

「以前は難しかったことが、アップデートによってできるようになり、現場から喜ばれたこともあります。利用者の声を製品づくりに生かしながら、機能を拡充している点にも期待しています」と神里氏は話す。

今後

基幹システムとの連携を進め、kintoneをデータ活用のハブへ

現時点で、krewDataの主な活用領域は多言語アンケートの統合だが、今後は売上、入館、支出などに関わるデータへ活用範囲を広げる計画だ。

具体的には、POSシステムのスマレジ、施設の入館システム、会計システム、kintoneで構築を進める稟議システムなどとの連携を検討している。収入と支出に関するデータをkintoneへ集め、krewDataで加工・統合できれば、Excelへ個別に出力して照合する作業を減らし、よりタイムリーな予実管理につなげられる。

また、同財団ではBIツールを利用して情報の可視化や分析を行っているが、閲覧には別途ログインが必要となる。経営層が詳細な数値を分析する用途にはBIツールを使い、一般職員が日常業務のなかで必要な情報を手軽に確認する用途には、kintone内で利用できるkrewDashboardを使うという役割分担にも関心を寄せている。

さらに、国や県へ提出する報告書についても、データの統合だけでなく、グラフを含む指定様式の帳票作成までkintone上で完結できる環境を目指す。

紙からWebフォームへ、転記から自動統合へと、課題を一つずつ解消してきた同財団。今後もkintoneとkrewシリーズを組み合わせ、現場が使いやすい仕組みと、組織横断のデータ活用を両立させながら、業務改善を進めていく考えだ。