導入事例

株式会社ケアサポート ロゴ

株式会社ケアサポート様

業種:
医療・福祉

利用用途:
日報・報告書

使用製品:
krewSheet

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事例公開日:2019年6月17日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

負担だった紙での記録と口頭での申し送りをクラウド化!
パソコン経験が浅い介護現場のユーザー達がkintone + krewで大きな業務改善を達成した

株式会社ケアサポート様は2008年に創業し、デイサービスと有料老人ホームの2施設一体型のサービスを提供している企業だ。てるまさグループのひとつで、母体となる株式会社照正組は建設業を営んでいる。創立70年を迎える老舗で、地元の与那原町ではとても信頼が厚い企業となっている。

拠点は、2008年にスタートした「ほがらか苑与原」と2012年にできた「ほがらか苑おおみたけ」の2カ所。与原は中規模施設で利用者は34名、おおみたけは利用者65名の大規模施設で、有料老人ホームには利用者が住んでおり、そこから同じ建物内のデイサービスに通っている。在宅で家族を見ることが難しくなった人などが利用しているのだ。もちろん、在宅からデイサービスに通っている方もいる。

ケアサポート様は、2019年1月にkintoneとkrewSheetを同時に導入し、まずは与原で使い始めた。現在はおおみたけでも運用をスタートしている。今回は、kintoneとkrewSheetの導入を担当した有料老人ホームほがらか苑与原施設長の長嶺浩平氏と株式会社ケアサポート(照正グループ)事務長 柔道整復師の崎枝涼氏、そして導入を支援した有限会社矢内石油 専務取締役の矢内哲氏にお話を伺った。

【課題】無限に増え続ける紙の記録を取るのが大きな負担になっていた

デイサービスは介護保険を利用するので、監査のために記録を残す義務があるが、以前はこの記録を紙で作成していたのだ。利用者1名につき、1日1枚の記録を作成するので、365日いればその分だけ発生し、その記録をする人間も必要になってくる。さらに、その紙を保存する必要もある。カルテはあっという間に分厚くなり、もちろん紙の消費もすごい量になる

どこの業界でも似た状態だが、特に介護業界では人員が足りない状態が続いている。そんな中で、記録のために人員を配置するのは難しいため、記録用紙を簡素化するべく試行錯誤を繰り返してきた。

アナログの紙管理では、記録だけでなく情報の共有にも課題が発生していた。利用者の情報を共有するには、記録用紙とは別の用紙に転記するなど、同じような記録を二重・三重に転記する手間がかかっていたのだ

デイサービスと老人ホームは24時間365日稼働しているので、記録は増え続けていく一方。たとえば、1年前に起きた出来事を調べるのは、相当困難だったという。スタッフの記憶が頼りになっていたのだ。

kintone導入前と導入後の比較

「電子カルテの導入は希望していました。4〜5年前に検討したところ、予算が合わず見送っていました。ケアサポートの専務であり、照正組の照屋圭太社長も問題に感じていて、出張先で矢内さんと出会ったのがkintoneとkrewSheet導入のきっかけになりました」(長嶺氏)

矢内氏は福島で矢内石油というガソリンスタンドを経営している。札幌で会社員をしていた矢内氏だが、2009年に父親の病をきっかけに福島に戻ってきた。新たにリフォーム事業をはじめたが、とにかく情報の共有ができず悩んでいたところ、kintoneに出会い、大きな業務改善を達成。現在では、売り上げの4割を占める主力事業となっている。

有料老人ホームほがらか苑与原施設長 長嶺 浩平様
長嶺 浩平様
有料老人ホームほがらか苑与原 施設長

矢内氏は、サイボウズが行っている業務改善ノウハウをユーザー同士で共有するイベント「kintone hive」に参加し、矢内石油の事例で「kintone AWARD 2018」グランプリを獲得した。

照屋氏は矢内氏と上海の経済視察ツアーや国内での勉強会で面識があったそう。その中で、矢内氏が矢内石油でのkintone導入事例の話をしたところ、興味を持った照屋氏から依頼があった。まずは、グループ会社の照正興産の業務改善を手掛け、2018年9月ごろにほがらか苑の支援も行うこととなったという経緯だ。

有限会社矢内石油専務取締役 矢内哲様
矢内哲様
有限会社矢内石油 専務取締役
導入前の課題
  • 紙で日々の記録をしているため専用の人員が必要になっていた
  • 膨大な紙資料が発生するため保管の手間がかかるうえ活用もできなかった
  • 電子カルテの導入を検討したことはあるがコストが高く断念した

【導入】職員に使ってもらうために慎重にアプローチして情報を共有した

矢内氏は担当のふたりと、徹底的ディスカッションした。現場では、実際にどんな苦労があるのかを見て、業務の流れを把握する必要があったのだ。

「最初は半信半疑でした。普通の電子カルテはフォーマットがあり、私たちがそこに合わせていくようなシステムです。それなのに、まずはいつも使っている紙の様式を見せてくれから始まったので、何が何だかわからなかったです。kintoneといってもマンガに出てくる筋斗雲を思い出すぐらいでした笑」(長嶺氏)

日々の業務の中で、朝にチェックしたバイタルを記載したり、昼の食事量を記録したり、その日の出来事を書いたそれぞれの用紙を最後にまとめて1枚の用紙に書き写していたそう。ここをkintoneによりアプリ化し、業務を改善しようとチャレンジした。

まずは基本的なフォーマットを矢内氏に作ってもらい、利用することで二人はkintoneを少しずつ理解し始めた。別のアプリも作成し、紙とペンを利用している業務を順次アプリ化し、そのテスト期間で改善点を洗い出してブラッシュアップしていきました。

現場の時間軸とスピードがずれるような入力フローは合わないということはわかっていました。krewSheetはExcelと同じように一覧上で入力操作ができるので、1レコードごとに詳細画面に遷移する必要がなく現場に負担をかけずにkintoneに記録を残せます。そのため、最初からkrewSheetはトライアルで入れていました。エクセルのような一覧があり、そこの穴に数字を入れていったらできあがるような操作オペレーションにしました」(矢内氏)

krewSheetの一覧で施設利用者の健康状態を記録
krewSheetの一覧で施設利用者の健康状態を記録

あとは、直感的に操作できるように、タッチパネル対応端末で利用することにしたそう。もともとパソコンをメインに使う職場ではなかったので、職員にはパソコンを使えない人もいる。そこでkintoneを導入することで、どれだけ働きやすくなるか、というのを明確に伝えるようにした。これを長嶺氏は「大義名分」と表現していた。「導入したあとの職場を想像しましょう」と何度も繰り返したのだ。

kintoneのポータルにアイコンを使い、タッチパネルでも操作しやすく誰でも直感的に使えるように配慮
kintoneのポータルにアイコンを使い、タッチパネルでも操作しやすく誰でも直感的に使えるように配慮
紙で行っていた業務を次々とkintoneアプリ化
紙で行っていた業務を次々とkintoneアプリ化

矢内氏による説明会を開催するほか、必要に応じて個別にも面談を行った。

kintoneのデモ画面をオリエンテーションで見せるときに、これ入れるからとは一言も言いませんでした。上で決まったものが落ちてくるって、現場は相当つらいです。だから、こんなものを作ってて、みんなが楽になったらいいと思うんだけど、覚える必要ないからとりあえず見てみて、と言いました。」(矢内氏)

その手間を惜しまなかった分、実際の導入時にはスムーズにことが進んだのだ。

システムも、これまでの業務フローに合わせて作成している。操作の動線とkrewSheetを密に組み合わせて、利用者が自然に使えるようにした。kintoneの詳細画面を使わず、krewSheetを活用しているのだ。

顧客マスター以外には、データを集積するアプリは一つにまとめ、閲覧時に欲しい情報をまとめた一覧画面を複数活用するようになっている。「一つのアプリにしておくと、機能の増設がしやすいんです」と矢内氏。さすが、kintoneの豊富な経験からの実用的なアドバイスといえる。作成したアプリは全部で40個。そのほぼすべてにkrewSheetも入っているとのことだ。この矢内氏による工夫は、サイボウズ社員がkintoneの情報を紹介するブログ「キンスキ.com」の「介護施設の日報を改善(前編)プラグインで実現する、二重入力を無くす報告システム」(https://www.kinsuki.com/entry/kaigonippo1)で紹介されている。

ユニークなのが、利用者はもちろん長嶺氏も崎枝氏もkintoneとkrewSheetの境目がよくわかっていない点。krewSheetはkintoneとシームレスに動作しているうえ、なじみのあるエクセルライクなインターフェースなので意識せず活用できているのだ。もちろん、悪いことではない。ユーザーが負担を感じずに利用できると言うことは、企業のシステム活用としては大成功といえるからだ。

【導入効果】記録時間は6〜8分の1に激減し、申し送りの手間もなくなった

手書きで記録し、二重三重の転記をしていた業務が、kintoneへの入力へ一元化したことで、大きく業務効率が改善。毎日3〜4時間かかっていた業務が、30分程度に短縮された。さらに、入力の手間が減ったことによる、ストレスやミスの軽減も大きなメリットだった。

記録員は今でも一応いるが、全員が記録できるようになったので、0.5人を雇用したという感触を得られているそう。職員が働きやすくなった分、利用者へのケアが充実した

「人員が足りないと悲しい話、利用者さんのサービス低下につながります。人員が増えれば、横に介護職員がいておしゃべりができたり、レクリエーションを充実させたり、ドライブとかができます。おやつにたこ焼きを作ったりと、今は充実してきています」(崎枝氏)

情報の共有方法にも革命が起きた。従来、「体調不良だった○さんが、ご飯を美味しく食べていた」というような情報は担当者の記憶の中にだけ収まり、他の誰にも知られることはなかった。しかし、記録アプリにチェック欄を用意し、チェックをすると申し送りのアプリに表示されるようにしたことで、手間を増やさず、記録する流れの中で、みんなに知って欲しいことを手軽に共有できるようになったのだ

株式会社ケアサポート(照正グループ)事務長 柔道整復師 崎枝 涼様
崎枝 涼様
株式会社ケアサポート(照正グループ) 事務長
柔道整復師

「以前は、日勤で起こったことを夜勤者に伝えるためには4時から4時半まで使っていました。それが今では自分のペースでアプリを見て、申し送りを把握できます」(長嶺氏)

効率を考え、無理に導入したわけではない。従来は口頭で申し送りをしていたが、口頭ならではのメリットがあるかもしれないと、平行テストを行った。しかし、職員は記入したことと同じことを言うだけで、何かの情報が上回ることがなかった。そこで、kintoneアプリへの移行に踏み切ったという。

今後は「発展に貢献してくれたらいいな」と長嶺氏。これから利用者の情報が蓄積してくると、去年の今頃どうしていたかなとか、最近食事の状態がよくないけれど、1ヶ月前はどうだったかな? という部分で活用したいそう。

長嶺氏も「業務の負担はいい感じに削減できたので、溜まったレコードをどういうノウハウで次に活かすか、分析、検証、集計の段階では、krewDataが貢献できるのではないかと思っています」と次のステージを見据えている。

業務は変化していきます。kintoneのシステムは今のベストな形に作りましたが、2年後にベストとは限りません。その時に形が変えられればいいなと考えています。」と崎枝氏。

矢内氏のサポートを得ながら、じっくりと導入準備を進めて、スムーズな展開に成功したケアサポート様だが、今後も、kintoneとkrewSheetで業務を効率化させ、浮いた時間を利用者のために活用していくハッピーなサイクルが続いていきそうだ。

krewSheetの導入効果
  • 1日3〜4時間かかっていた記録時間が30分に短縮された
  • 口頭で行っていた申し送りがまるごと不要になった
  • 紙を扱う業務が減ったことで利用者のケアが充実した