導入事例

資料作成“0分”へ。現場の時間をお客さまのために使えるようになった。
「kintone × krew」導入で実現した“手間ゼロ・判断即決”の業務スタイル

株式会社イヤタカ

業種宿泊業・飲食サービス業
部門全社
利用用途顧客・案件管理業務共通基盤
製品krewDatakrewSheetkrewDashboard

事例公開日:2025年10月27日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

秋田県でブライダル事業を中心にビジネス展開している株式会社イヤタカでは、コロナ禍でメンバーの働き方が大きく様変わりするなかでkintoneを導入。業務のシステム化を推進する過程で、入力負担の軽減やデータ加工および集計の効率化、分かりやすく表現するダッシュボード化など、kintoneへの情報入力から可視化に至るプロセスにkrewシリーズを活用している。その経緯について、代表取締役社長 大野 恒平氏にお話を伺った。

課題

業務基盤としてグループ全体に展開できる環境づくりが必要に

株式会社イヤタカは1974年に秋田にある彌高(いやたか)神社で行われていた結婚式を事業化して創業。現在はブライダル事業を中心に地域密着型の総合ブライダル企業として多角化を進めている。「この想いが、未来を描く。」を企業としてのタグラインに据え、ブライダル事業とともに、宴会・レストラン事業、料飲開発事業、フォト事業、結婚相談所事業、カルチャースクール事業、介護事業など幅広い事業を展開。

「イヤタカは結婚式をはじめとして人と人が集まる空間提供を行っており、料理技術の高さが強みの1つです。コロナ禍で傷んでしまったサービス業を再興していくための技術的な領域としての料理を強みとして、今では直営施設以外の飲食サービス業に向けたビジネス展開も始まっています」と大野氏は説明する。

そんな同社では、以前からブライダル事業に基幹システムを運用してきたが、結婚式の予約や料理の種類や列席人数などイベントを実施するための情報管理が中心だったという。

部門別のPL、売上金額に対する原価、客単価、商談数、イベントあたりの工数といった各種KPI指標の集計はExcelを使いマネージャ達が手動で行っていたため、資料作成にとても時間がかかっていたそうだ。

「業務プロセス全体をPDCAサイクルに見立てると、基幹システムはDoのためだけに使っていた感じです。Plan(目標設定)や商談数や売上、原価、工数といったCheck(振り返り)に必要な管理指標の資料は基幹システムのデータと現場での管理記録などから、毎月現場マネージャがExcel マクロやAccessを駆使して作成していましたが、資料を作ることが目的化していて本来時間を割くべきActionにリソース確保できませんでした。そこで、マネージャたちが指標の資料作成作業に時間をかけないようにしたいと考えたのです」と大野氏。

大野 恒平様代表取締役社長

こうして、手作業によるアナログな指標管理業務を解消するための業務基盤を整備することになったのだ。当初はスケジュール管理や社内掲示板による情報共有などイントラネットとして活用できるサイボウズ Officeを導入し、カスタムアプリ機能を利用してワークフロー含めた業務アプリを整備していったというが、業務として改善すべき領域が広がるなかで限界を迎えることに。カスタムアプリで対応できないものはMicrosoft Excel VBAやAccessを駆使していたが、IT知識が必要なこともあり大野氏や一部のメンバーしか扱うことができず、業務基盤として社内に浸透していくイメージが持てなかったのだ。

当初はサイボウズGaroonへのアップグレードを検討したものの、グループウェアとしてのGaroonは同社にとって規模感が大きすぎると判断。データベースが欲しいとも思っていたので、目をつけたのがノーコードでアプリを開発できるkintoneだった。

「調査を進めるなかで、サイボウズ Officeでは実装が難しい業務アプリを作る手段としてkintoneを使った事例を数多く目にしたので、当社もkintoneを使ってみようと思い立ったのです」と大野氏。

選定

kintone活用に欠かせない情報のインプットからアウトプットまでを劇的に変えるkrewシリーズ

kintone導入後は、大野氏が中心となって『Checkプロセス』に必要な情報を管理するアプリを開発していった。アプリ間のデータ集計ができるプラグインも利用してみたが、ITリテラシの高い大野氏であれば使いこなせるものの、それを周囲に展開していくにはハードルが高かったという。

「導入したプラグインでもやりたいことが実現できましたが、マネージャー達にやり方を伝えてもなかなか理解が進まず、これではExcelマクロと似たような状況になってしまうと感じました。彼らに修正を依頼したり、メンバーに普及させたりしていくには厳しいと感じたのです」と大野氏。

そんな折、大野氏がサイボウズのイベントで出会ったのがkrewシリーズだった。パズル感覚でデータの加工や集計ができるkrewDataと、多彩なグラフチャートでアプリのデータを可視化できるkrewDashboard、ExcelライクなUIでアプリへのデータ入力を楽にするkrewSheetの3つの組み合わせに魅力を感じたという。

krewDataならフローの流れも可視化できるため、マネージャーたちも理解しやすく、グラフやピボットなどでグラフィカルに表現できるkrewDashboardは指標を読み解く際の強力なコミュニケーションツールになると評価した。

「現場が使い慣れているExcelのようにデータを入力できれば、kintoneにデータを集めやすくなりますし、それを自動で加工・集計してダッシュボード化まで行えればkintoneが強力な業務基盤になると感じました」

情報のインプットから、データ加工・集計を経て可視化のアウトプットまで、大野氏が理想とするkintone活用にkrewシリーズが適していると考えkrewシリーズの採用を決断したのだ。

効果

kintoneへのスムーズな移行に大きく貢献するkrewシリーズ

基幹システムとの連携により多彩な情報をkintoneに蓄積

現在は、事務作業を担当する社員やアルバイトを中心に90名ほどがkintoneを活用。運用しているkintoneアプリは500を超えており、アプリ開発権限は大野氏を中心に10名ほどが有している。

アプリの開発と運用は、セールスやフロア&調理、料飲開発といった組織に紐づく部門別アプリとともに、子会社が使うアプリ、本部が利用するアプリなどを組織や用途でスペースを分けて管理。予算管理など経営の数字を可視化するアプリは、組織や用途のスペースとは別に運用しているとのこと。

日々現場で業務データを入力するアプリは、日報アプリや社員出勤簿アプリ、プライダル商談予約表アプリなどがある。一方、受注情報や労務情報は基幹システムのデータを毎日CSVで取得してkintoneに取り込んでいる。さらに自社サイト(WordPressで構築)からの問い合わせは、案件情報としてAPIでkintoneに投入。kintone内の業務アプリと外部データ連携により、多彩な情報がkintoneに蓄積され、krewDataを活用することで、さまざまな指標管理をkintone上で実現している。

▲基幹システムの実績データと予算アプリを突合し、予実を自動集計するkrewDataのデータ編集フロー図

▲日報と基幹システムの実績データから予実を算出するkrewDataのデータ編集フロー図

その他、業務だけではない個人的な投稿が可能な掲示板系のアプリも用意されている。なお、全社員が利用している各種申請系のアプリは、引き続きサイボウズ Officeを利用しているそうだ。

活用例:ブライダル案件を管理する商談予約表アプリ

具体的なkrewシリーズの活用例として挙げられるのが、ブライダル商談予約表アプリだ。商談予定表では、受付情報や顧客情報、訪問時に案内するタイムスケジュール、商談結果や失注した際の理由、競合他社の提示条件、過去の商談履歴などの詳細な情報が記録されている。

「自社のWebサイトや結婚情報サイトからの問い合わせがkrewSheetの一覧画面で商談予定として管理しています。それらの情報はkrewDataで商談情報として指標資料作成のための加工をしたり、日々のタスクに落としたりしています。また、ウェディングプランナーに対しては、過年度の結婚式の状況をkrewDashboardでグラフ化し、現場レベルで議論できるような環境を整備しています」と大野氏。

商談予約表アプリは商談に対する細かな情報が登録されているので会計上の勘定科目では見えない料理売上や飲料売上、レンタル売上、挙式売上など、管理会計として細かくKPI管理している形にkrewDataで集計・加工してkrewDashboardで可視化することで状況を分析して今後のアクションにつながる施策が打てるのだという。

▲krewSheetを適用した商談予定表

▲krewDashboardで、媒体事の商談予約を可視化。スライサーやタイムラインで任意の期間の具体的な数字を確認できる

活用例:人事労務システムと連携した勤怠管理

また、人事労務のシステムから社員情報をkintoneに連携し、社員出勤簿アプリにて日々の作業時間をkintoneで管理、krewDataにて加工したうえでWeb給与明細としてPrintCreator(プリントクリエイター)でPDFに変換、その情報を社員に提示している。勤務時間は最終的に人事労務側にデータを戻して給与支払いを行っている状況だ。

活用例:社員のモチベーションを上げる業績管理

個人の業績を管理しているKPI管理アプリでは、部署単位に詳細にKPIを設定しており、KPIに対する結果をkrewSheet上に入力、実績情報と基幹システム内にあるデータをkrewDataにて加工集計し、krewDashboardにてKPIの達成状況を可視化するといった取り組みも行われている。

「KPIそれぞれに係数が決まっており、達成した際の報酬を計算して可視化する際にもkrewシリーズが使われています。月の残業時間なども基幹システムから日々の実績をkintoneに持ってきて、その状況を可視化することでそれぞれの時間管理に生かしています」と大野氏。

活用例:kintone AIラボとkrewシリーズを使った社内に浸透させるための工夫

大野氏が自らkintoneやkrewシリーズを利用していく中で得た知見やTipsを登録したアプリをkintone標準のAIである“kintone AIラボ”を用いて検索できるようにしたアプリも展開している。これにより、kintoneアプリ開発に携わる社員がkrewやkintoneの使い方を知りたい時に情報に辿りつきやすくなっていると好評のようだ。もちろん、知見の登録画面はkrewSheetでサクッと登録ができるようにしている。

krewシリーズが鮮度の高い意思決定と可視化による意識変化をもたらす

以前は基幹システムのみが業務管理の基盤だったが、kintoneを導入したことでグループ全体の日常が容易に可視化できるようになるなど、グループ全体への波及効果も大きなものとなっている。また、FormBridge経由で顧客接点の基盤としてもkintoneが活用できており、顧客満足度への貢献度も高いと評価する。

「DX推進という視点では、改善活動としてのPDCAサイクルの品質が高まるだけでなく、私自身の意思決定がこれまで以上に早くなったことにkintoneおよびkrewシリーズが大きく貢献しています」と大野氏は評価する。なかでもkrewシリーズのおかげで、より鮮度の高い情報で意思決定できるようになったと力説する。

「結婚式が好きで働いているスタッフが多く、やりたいことに集中させてあげたいという思いを持っています。効率化や省力化につながるkrewシリーズのおかげで、お客さまと接する時間を増やしてあげることができました」。

krewシリーズについては、すでに作成されている多くのkintoneアプリに適用が進んでいる。「krewシリーズは情報のインプットから加工、そしてアウトプットのツールとして多くのアプリに適用しています。この3つのプラグインに早い段階で出会えたおかげで、スムーズにkintoneに移行できたと実感しています」と大野氏は評価する。定量的には、krewシリーズのおかげで資料作成の時間がゼロになり、リソースをPlanやActionにつなげることができるようになったことで、各部署のさまざまな数字にプラスの効果が出ていると評価する。

なかでも評価が高いのが、数字の可視化に役立つkrewDashboardだ。最終的なアウトプットをkrewDashboardで可視化することで、マネージャ層だけでなく現場のスタッフレベルでも簡単に傾向が把握でき、今後の改善も含めて話が膨らむようになったとその効果を実感する。「簡易的なBIツールとしてkrewDashboardが機能しており、数字の意識を高く持ってもらえるようになったことは経営者として大きい」と大野氏。

基幹システム含めた外部とのシームレスな連携に期待

基幹システム側で管理している商談実績などの情報は、今は日時処理でCSVとしてkintoneに投入したり直接入力したりしているが、いずれはシステム連携できるような環境を整備したいという。

「外部との連携については、コストがかかるため費用対効果の課題はあるのですが、クラウドストレージとkrewDataを併用することでシームレスな連携が実現できそうです。kintoneやkrewの知識を高めて、DXを更に進めていきたい」と大野は意欲的だ。

また、社内業務に大きく貢献しているkrewシリーズのなかでも、特にkrewDashboardについては今以上に使えるメンバーを増やしていきたいと今後について語っていただいた。