導入事例

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株式会社サポーターズ様

業種:人材サービス業

部署:全社

利用用途:案件管理、マッチング管理

使用製品:krewSheet/krewDashboard/krewData

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事例公開日:2022年12月26日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

kintone内の情報を活用して複雑な処理の実行に欠かせないイベントのオンライン化成功で事業変革に大きく貢献するkrewシリーズ

デジタル系人材の新卒採用を支援するサービスを提供している株式会社サポーターズでは、企業と学生のマッチングイベント時に行う面談希望などのアンケート収集や企業への人材紹介業務における業務基盤としてkintoneを採用、イベント当日のマッチング処理やkintone内の情報を集計して分析するための仕組みとしてkrewDataおよびkrewDashboardを、学生マスターの一元管理やデータメンテナンス時のインターフェースとしてkrewSheetが活用されている。その経緯について、取締役 田尻 孔徳氏、イベント事業本部 イベントチーム リーダー松村 沙紀氏および人材紹介事業本部 本部長 太田 裕也氏にお話を伺った。

【課題】アナログ業務のシステム化、自分たちで運用管理できるkintoneに注目

キャリア支援の形として“カッコイイオトナを増やす”をビジョンに掲げ、企業のエンジニア採用を支援している株式会社サポーターズ。即戦力のある学生を中心とした国内最大級のエンジニアDBを有しており、1on1イベントや人材紹介を通じたエンジニア特化の新卒採用マッチング事業を展開。プログラミング経験だけでなく、実務経験を持つ学生も含めて7,000名ほどが常に登録されており、マッチングイベントのほか、個別の人材紹介においても年間1,000名以上の学生との面談を通じて企業とのマッチング機会を数多く創出している。また新たな事業として、エンジニア育成に向けた技育プロジェクトも手掛けている。

そんな同社では、企業と学生のマッチングイベントを年間40回ほど開催し、企業の担当者と学生による1on1での面談機会を提供しているが、事前に企業からの面接希望を募り、当日は学生からプレゼンの感想などをアンケートで回収するといった業務が行われている。以前は、Googleフォームを活用して企業から面談希望を募ったうえで、人海戦術で面談組み合わせを作成、面談表は紙で各社に配布していた。また、イベント当日は紙でアンケートを実施してスプレッドシートなどに回答結果を手入力していたという。

「学生が当日参加できないと連絡があれば、面談表を急遽変更して現場に配るのですが、複数の情報が錯綜し、混乱することもあったのです」と田尻氏は当時を振り返る。

そこで、SaaSで提供されているアンケートツールを導入してデジタル的にアンケートを収集できる環境を整備した田尻氏。スプレッドシートであるGoogle Sheetsに転記して管理する環境も整えたものの、さらに効率よく事前に情報を収集したうえで、当日の急な変更にも対応できるような仕組みが求められたという。

取締役 田尻 孔徳様
田尻 孔徳様
取締役

その際注目したのが、サイボウズのkintoneだった。当時はイベントの形式が定まっておらず、最適なフローを模索していた段階にあり、イベント管理業務の変更に合わせて現場で構築・運用できる点を高く評価したという。

「社内にエンジニアは在籍していましたが、メインサービス側の保守・運用にリソースを割く必要があり、ある程度自分たちでアプリの構築と運用を行っていけるものが理想でした。フォームブリッジやkViewerなどのkintoneプラグインを使えば、アンケートの結果をkintoneに取り込むことも可能です。データベースとして正しく管理できる基盤としてkintoneが最適だと判断したのです」と田尻氏。

こうして、リアルな場でマッチングを実施するイベント事業部にてkintone活用がスタートしたのだ。

【選定】kintone内で複雑な処理を可能にするkrewDataに期待が高まる

プラグインを駆使することでアンケート集計やデータストックが可能な環境をkintoneで整備できたものの、課題もあったという。ひとつは、データ分析の基盤としては十分でなかった点。イベントに参加した企業に対して、学生の反応も含めてマッチング効果をセールスメンバーが説明することもあり、イベント価値を伝えるためのデータ分析基盤が求められたのだ。

「企業側にマッチングサービスを提供する以上、イベントの効果を企業にきちんと説明できるようにしなければなりません。そのためには、kintone内のデータを加工集計したうえで、グラフなどを駆使してセールスメンバーが状況を把握できる仕組みが必要でした」と田尻氏。

もう一つが、マッチングの組み合わせの作成だった。同社では企業が事前入力した面談希望と学生のエントリー情報をもとに集計を行い、1日かけて学生との面談組み合わせを決定していたが、イベント当日に欠席者が出た際の対応が難しかったという。さらに、学生側からも企業のプレゼンテーションを聞いた後に面談希望を出したいという要望があり、対応を求められていた。

「当日の企業プレゼンに対する感想で得られたアンケートをもとに、リアルタイムで組み合わせを決めるという理想的なフローを確立させたかった」と田尻氏。

マッチングの組み合わせの作成の問題点

これらの課題をJavaScriptでカスタマイズして構築すると管理コストが大きくなるため、プラグインをうまく活用できる方法を検討した田尻氏。そこで注目したのが、データの加工や集計作業が可能なkrewDataであり、得られた情報を分析して可視化するためのkrewDashboardだった。

kintone内のデータを活用して処理していく段階において、短期間のうちに複雑な処理が可能な仕組みとしてkrewDataに注目したのです」。krewDataについては、企業に渡す学生のプロフィールシート作成やイベントに参加する学生の審査プロセスの省力化、集計処理を駆使したイベント分析など、多岐にわたる処理に活用できることが期待されたのだ。

営業担当者が自分たちで見たい情報を確認できる視認性を高めるツールとしてはkrewDashboardが有益だと判断。さらに、イベントに参加する学生審査のプロセスでは、過去のイベント参加状況や面談実績などを確認しながら判断することになるが、そこで活躍が期待されたのがkrewSheetだった。

審査の際に詳細レコードを1つずつ開いて確認する運用ではなく、Excelやスプレッドシートのように一覧画面で学生の状況が確認できるのは非常に有用だと判断してkrewSheetも検討したのです」と田尻氏。

結果として、kintone内のデータをうまく活用し、業務に役立てていくための仕組みとして、krewシリーズが採用されることになる。

【効果】100近いフローをkrewDataで運用、krewSheetやkrewDashboardも業務に生かす

現在は、イベント事業本部だけでなく、人材紹介事業本部やメディア事業本部においてもkintone活用が進んでおり、50名を超えるほぼすべての従業員にアカウントが付与されている。kintoneアプリは、事業部に関連したデータ管理やSalesforceのデータを取り込んで売上管理するような事業横断的な仕組みを中心にそれぞれの事業部で作成されており、過去も含めたアプリ総数では700を越えている。

アプリ作成権限は全社員が持っているが、基本的にはkrewDataを利用することを前提に田尻氏が全体の設計を行い、具体的な項目追加などの運用を松村氏や太田氏など各現場が実施している状況だ。なかでもkrewDataについては、スケジュール実行しているもので72、リアルタイム実行でも25を超える数のフローを動かしているなど、フル活用している状況にある。なお、人事系も含めたバックオフィス業務はホールディングス側の仕組みで運用している。

前述のマッチングイベントでは、イベント開催前にフォームブリッジを経由して企業側から面談したい学生の希望を募ったうえで、参加希望の学生一覧が表示されたkrewSheetにて審査を実施、krewDataにてマッチングのための前処理としてのレコードを作成し、その結果を面談組み合わせシステムに取り込むことで最終的な組み合わせを作成している。

面談システムに投入するレコード作成処理の一部
▲ 面談システムに投入するレコード作成処理の一部

もし、イベント当日に欠席者が出た場合は、kintoneのシステム上で欠席者情報を入力し面談組み合わせシステムで再調整するフローとなっている。また、面談前に行われる企業側のプレゼンに対する感想をはじめ、面談やイベント全体のアンケートをフォームブリッジにて収集し、krewDataにて集計したうえでkrewDashboardに表示するといったことも行っている。

面談システムに投入するレコード作成処理の一部

学生と面談して企業を紹介していく人材紹介事業本部では、学生と企業のマッチング情報をkrewDataのリアルタイム実行にてレコードを自動作成し、過去のマッチング情報も参照しながら提案管理アプリを生成、krewSheetの一覧画面にてチェックする運用だ。

「学生とキャリアドバイザーが面談した結果を面談管理アプリに入力しますが、生の動きが把握できる。詳細画面を開かずに学生の情報や過去の履歴が確認できるサブウィンドウも便利に使っています」と太田氏は語る。

人材紹介事業本部 本部長 太田 裕也様
太田 裕也様
人材紹介事業本部 本部長

他にも、常にアップデートされる学生情報については、krewDataにて学生マスターの更新処理を行っている。

人材紹介事業本部では、目標達成に向けたKPIが詳細に設定されており、意向獲得率や書類通過率といったKPIとなる各種数字をkrewDataにて集計し、企業単位にkrewDashboardでグラフ化できるようにしている。メディア事業本部でも同様で、同社が展開するメディアからの応募状況などをkintone内で管理し、各種アプリのデータを集めてkrewDataにて集計したうえで、krewDashboardで可視化するといったプロセスだ。

krewDashboardで選考プロセスの詳細データを全体平均と比較したものを企業ごとに可視化
▲ krewDashboardで選考プロセスの詳細データを全体平均と比較したものを企業ごとに可視化
■ 競合に先んじてイベントのオンライン化を実現、kintoneとkrewが事業を後押し

2019年にkintoneを導入し、その後krewシリーズも活用しながらシステム化を進めてきたが、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響でリアルイベントを開催すべきか議論されたこともあった。

「その段階でシステム化がほぼ完成していたことで、全てオンラインでイベント開催を継続するということにチャレンジができたことが何よりも大きい。競合に先んじてオンラインイベントに切り替えたことで、お客さまからの信頼を勝ち得たことが何よりの成果です。現場にて融通の利くkintoneと、複雑な処理をボタン1つで実行できるkrewDataがあったからこそ」と田尻氏は高く評価する。

結果として、イベント開催の事前作業の工数が大きく削減でき、今では以前の半数以下のメンバーでイベント運営が可能になっているという。例えばマッチングイベントの審査業務では、イベントにエントリーした学生情報がkrewSheetにて可視化できるようになっているため事前アンケートの結果や過去の面談記録も含めて、参加合否を総合的に判断できるなど、属人化したスキルに依存せずに面談リストが作成できるようになったという。

学生のデータ一覧上で、詳細まで確認できるkrewSheetの画面
▲ 学生のデータ一覧上で、詳細まで確認できるkrewSheetの画面

「以前は学生に電話でヒアリングしながら面談の可否を判断せざるを得ず、電話応対する個人に高いスキルが要求されていました。今は事前に情報が集まっており、それらを総合的に判断できるようになっています。新しいメンバーでも業務がキャッチアップしやすくなったのは大きい」と高く評価する田尻氏。

実際に審査を担当している松村氏も「電話応対だけでも1人あたり15~30分の時間はかかっていました。今はサポーターズ全体の事業を通じて学生の状況把握が可能で、10分の1以下の工数で審査できるようになっているケースもあるほどです」と高く評価する。

イベント事業本部 イベントチーム リーダー 松村 沙紀様
松村 沙紀様
イベント事業本部 イベントチーム リーダー
■ 使い勝手の高いkrewData、労働時間の短縮に大きく寄与

krewDataについては、直感的にフローが組めるメリットが大きく、データプレビューにて確認しながら実装できるなど、利便性の高さを田尻氏は評価する。

「スケジュール実行やリアルタイム実行を多用しており、APIでのボタン実行なども業務に合わせてうまく組み合わせて使っています。イベントに参加した学生がアンケート未回答の場合、それをslackにて通知するようなフローも作っているなど、業務における有用性がとても高いプラグインです」。

エンジニア出身の田尻氏だけでなくプログラミング未経験の松村氏も「開発経験のない私でも直感的に触れることができるツール。ものすごくありがたい」と評価する。

「実際に田尻が作ったものを参考に、簡単なフローであれば私でも作成できます。他のメンバーでも作りやすいのでは」と太田氏からも好評だ。krewシリーズを導入したことで、以前に比べて労働時間の短縮に大きく貢献しているという。

「チーム全体として労働時間の削減につながっています。繁忙期においては残業も少なくありませんでした。今も忙しい時期はありますが、以前と比べると定時や少しの残業時間で帰宅できるメンバーが増えております」と太田氏は評価する。

なおグレープシティに対しては、krewシリーズのアップデートがきちんと行われている点を評価する。「以前出来なかったことがアップデートできちんと反映されているケースが多い。我々の意見も加味していただきながら、真摯に対応いただけている姿勢を高く評価しています」と田尻氏。

■ kintoneおよびkrewシリーズのメリットを生かしながら今後に役立てたい

現在は各事業ともにkintoneおよびkrewシリーズを活用して業務基盤を整備しているが、いずれは内製化された環境への移行も視野に検討を進めているという。

「いきなり今の仕組みをスクラッチで構築するのは、正直言って無理だったはずです。しかし、kintoneおよびkrewシリーズで業務整理が進み、サンドボックス的にさまざまなトライができたからこそ、次の環境が検討できるようになりました」と田尻氏。

ただし、イベント事業本部の業務は新たに内製化された環境に移行する計画があるものの、人材紹介事業本部では現場でのカスタマイズ性の高いkintoneのメリットを生かしながら、基幹システムとのAPI連携など新たな仕組みづくりの議論が進められているという。

現場においては、いまだにスプレッドシートを活用して業務を動かしているケースも多いため、kintoneにて情報管理をしていくことも検討できると松村氏。特にkrewSheetについては、チームのメンバーも自分たちでカスタマイズしながら業務に適用しているため、活用の幅についても今後広がっていく可能性はあると太田氏も言及する。

また、グループ会社として同社が所属する株式会社CARTA HOLDINGSにおいて、kintoneおよびkrewシリーズのノウハウが生かせる可能性もあるという。「グループ会社がたくさんあるなかで、今でもアナログな業務を続けているところも少なくありません。実際には他事業部でkintoneを導入しているという話も聞き及んでいますので、コミュニケーションをとりながら連携していく機会もあることでしょう」と田尻氏に今後について語っていただいた。