導入事例

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大見工業株式会社様

業種:製造業

部署:全社

利用用途:現場の業務改善基盤

使用製品:krewSheet / krewData / krewDashboard

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事例公開日:2023年08月22日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

現場に適した使い勝手を提供、情報集約による情報の可視化を実現
アプリ間集計などkintoneの利便性向上に貢献するkrewシリーズ

総合切削工具メーカーの大見工業株式会社では、SFA・CRMに特化したシステムを利用していたが、案件管理と受注管理が業務フローに適さないことから業務管理基盤をkintoneに刷新し、商談数字や不良集計の情報をダッシュボード化するべく、グレープシティのkrewシリーズを活用している。その経緯について、管理部 電算担当 東田 光平氏および、同管理部 電算担当 主任 武田 麻美氏にお話を伺った。

【課題】製造業のモデルに適さないSFA・CRM基盤から現場各部署の業務に適した仕組みに転換

1930年に創業し、切削工具の開発・製造により日本の製造業を支えている大見工業株式会社。「顧客中心主義」を基本理念に掲げ、ホールカッターや精密切削工具など高性能かつ付加価値の高い切削工具の提供に加え、環境機器や治具の設計・セットアップ等顧客の要望に応える幅広いソリューションを提供している。

「切削工具だけでなく要望に合わせて製造現場をプロデュースすることで、お客様の困りごとをスムーズに解決できます」と東田氏は説明する。

そんな同社では、グループウェアとExcelによる案件管理と情報共有を行っていたが、顧客管理などの業務基盤が整備されずにいた。 営業の効率化と標準化のため、SFA・CRMを営業管理基盤として導入したという。売上目標と現在の実績を把握する経営ダッシュボードを作成していたのだが、同社のビジネスは受注生産も多く、商談から受注、生産までの業務を標準化することが困難で現場の運用にうまくマッチした環境整備が進まなかったという。

「思うように環境整備が進まず、当初期待していたような効果が出せない状況が続いていました。一方で、ライセンス費用の負担が大きかったことから、現場の運用に即した顧客管理と案件管理を行える、別のアプローチが必要だと考えたのです」と武田氏は当時を振り返る。

krew導入前の課題の概要

以前SFA・CRMは同社の業務フローには適さなかったが、営業実績の可視化やデータ蓄積の観点から、業務データの管理や効率化のための基盤としてなんらかのシステム構築が必要であるという意識は社内に芽生えていたとのこと。そこで、グループウェアとExcelによる管理に戻すことはせず、新たな環境で現場の業務にあった環境整備を進めるための方法が模索された。

当初は顧客管理を中心とした営業管理基盤を考えていましたが、新たな環境づくりにおいては営業活動にこだわらず、社内のあらゆる場面において業務改善につなげることが可能な汎用的なツールを検討しようという流れになったのです」と東田氏。

管理部 電算担当 東田 光平様
東田 光平様
管理部 電算担当

【選定】業務活動に必要な数字の可視化に役立つkrewシリーズに注目

そんな中、管理部が注目したのが、ローコード・ノーコードツールとしてのkintoneだった。同社はもともとサイボウズ Officeをグループウェアとして使っていたため、サイボウズのソリューションであれば、使い勝手の面から現場も受け入れやすいのではないかと判断。実際には他のソリューションも検討したものの、展開のしやすさなども考慮してサイボウズのkintoneを活用する決断をすることに。

ただし、以前のSFA・CRMでは営業の目標数字や実績に関するグラフなどがポータル画面にビジュアルで表現されていたため、同じようにダッシュボード化できる機能が求められた。

営業活動だけでなく、どんな業務でもデータをグラフやチャートで把握することで得られる気付きがあると感じていたので、kintoneでダッシュボードを作れるプラグインや連携サービスを探していたところ、グレープシティのkrewDashboardに行き着きました。無料のトライアルを使ってみたところ、使い勝手がよく、以前のSFA・CRMと同じようなダッシュボード画面を作れそうと判断しました」と東田氏。

また、複数のアプリを元にデータを加工できることは導入後の活用に重要であると捉え、krewDataについても同時に導入することを検討したという。

「1つのアプリ内の情報をダッシュボードに表示するのであれば簡単にできそうですが、2つ以上のアプリの情報をクロスさせて可視化するには、kintoneの標準機能だけでは難しい部分もあります。そんな使い方にkrewDataが役立つのではと考えたのです」とアプリ開発を手掛けている東田氏は語る。

さらに、Excelライクなインタフェースで情報管理ができれば、現場の理解も進むと考え、krewSheetの導入も決めた。導入を決める前にいくつかの技術的な課題が発生したため、グレープシティに問い合わせたことがあったのだが、すぐに的確な回答がありサポートに関しても安心感が得られたという。

「グレープシティからの回答は、ありがちな定型文ではなく、きちんと調べたうえで我々の知りたい情報が適切に返ってきました。そのため、導入しても安心だと考えたのです」と東田氏は評価する。

結果として、kintoneで業務基盤を整備することで現場の業務改善につながる汎用的な仕組みとして、krewシリーズが採用されることになったのだ。

【効果】kintoneの使い勝手を高めるために欠かせないkrewシリーズ

■ 情報をダッシュボードにて可視化、データ集計の手間を大きく軽減させることに成功

現在は、各部署における課題を解決するためのツールとして55ほどのアカウントでkintoneが活用されており、情報を格納するデータベース的なアプリを中心に、70ほどのアプリが展開されている。アプリ作成は全社員が権限を有しており、誰でも必要なアプリを作成できる体制で運用している。

「まずは簡単にシステムが作れることを知ってもらうことを優先的に考えており、自由にkintoneに触れてもらうようにしています」と東田氏は説明する。

それでは、具体的な使い方をいくつか紹介していこう。

不良集計アプリ

ものづくりにおいて発生した不良品の状況やその原因を記録することで、品質向上に役立てるためのもの。情報は1件ごとに起票したkintoneレコードに入力し、krewSheetで集計値を一覧できるようになっている。krewDataで部署ごとに月次で集計しkrewDashboardで全社員に共有するべく可視化され、前月比較や前年同時期との比較、どこで発覚したのかなど細かく情報を把握できるようにしている。

ダッシュボードにて可視化することで、品質を高めるための意識改善や不良が発生しやすいタイミングの注意喚起など、ものづくりの品質向上につなげていくために役立っています」と武田氏。

krewDashboardで作成した不良集計ダッシュボード。全社員に共有し品質向上につなげている
▲ krewDashboardで作成した不良集計ダッシュボード。全社員に共有し品質向上につなげている
krewSheetのXrossモードで月別・拠点別で金額と本数の集計値を一覧したもの
▲ krewSheetのXrossモードで月別・拠点別で金額と本数の集計値を一覧したもの
社用車管理アプリ

30台ほど所有している社用車は、営業担当者それぞれが割り当てられた車を管理している。購入やリースなど契約上の違いや、乗用車やバンタイプといった車種などの違いがあり、契約形態や種類によって車両点検のタイミングが異なってくるため、従来はExcelを紙で印刷し、日めくりカレンダーのように毎月の点検タイミングを見極めていたという。

krewDataを使うことで、フィルタで分岐させることが可能になり、車検の日付を設定するだけで3ヶ月ごとの点検日が逆算できるようになりました。リマインダー通知機能を利用することで、必要な担当者に事前に通知できるようになったことで管理の手間削減につながっています」と東田氏。電話連絡が不要になっただけでなく、きちんと通知履歴が残るため、コミュニケーションロスも回避できるようになっている。

社用車の車検日をリース期間や車種に応じて分岐したkrewDataのデータ編集フロー
▲ 社用車の車検日をリース期間や車種に応じて分岐したkrewDataのデータ編集フロー
■ ITリテラシー向上や業務改善に向けた意識改革にも貢献

kintoneおよびkrewシリーズを導入したことで、現場からもシステムを活用して業務改善したいという声が上がってくるようになり、現場のITリテラシー向上や意識改革に大きく貢献しているとのこと。

「情報がkintoneによってオープンになり、直接関わらないメンバーにも会社の実情が共有できるようになったのは大きい。しかも、krewによって集計作業が自動化されていますし、簡単に可視化した情報が共有できるため、管理負担も軽減できています」と武田氏は評価する。

当初課題となっていた費用面については、運用費用だけでも50%以上削減できただけでなく、半額以下の運用費用ながらユーザー数を増やすことに成功するなど、業務基盤としてコストパフォーマンスよく展開できているという。

「krewシリーズを活用することで、複雑な集計が不要になり、情報のメンテナンスもしやすくなるなど、管理面では大きな効果が得られています。データを積み上げていくことで、さらなるデータ活用が可能になるはずで、将来性についても高く評価できます」と武田氏。

使い勝手の面では、経験の浅い東田氏でもアプリ開発を進めることができるなど、感覚的に操作できる点を高く評価する。

「検証段階から感覚的にアプリ作成ができ、開発経験が乏しい私でも十分アプリ開発が可能でした。集計アプリなどはExcelで集計していたため、krewSheetのXrossモードで集計できるのはとてもフォーマットが似ていて使いやすい」。

「目的によって絞り込んで情報が確認できるスライサーの機能はとても便利です。以前の仕組みでは実現できませんでしたが、今はkrewDashboardのおかげで分析もしやすくなっています。krewDataのチュートリアルで学ぶことができましたし、わからないことは問い合わせでも親切に対応していただいています。本当にありがたい」と東田氏にも好評だ。

krew導入後の効果の概要

グレープシティについては、問い合わせに関しては決してできないとは回答せずに何らかの解決策を提示する努力を見せるなど、親身になって対応してくれている点もポイントが高いとのこと。

■ ワークフローやプロジェクト管理、CRMの基盤としても拡張していきたい

今後については、現在サイボウズ Officeからサイボウズ Garoonに刷新したグループウェアにて行っている申請承認などのワークフロー系のアプリをはじめ、案件ごとのプロジェクト管理に役立つアプリなど、kintoneおよびkrewシリーズで実現したいことが数多くあるという。

「営業に関連した商談管理や予実管理といった営業系の領域はまだ整備できておらず、部署ごとで個別に行ってもらっています。将来的には、営業全体の数字がkintoneおよびkrewシリーズを使うことで可視化できるようにしていきたい」と東田氏。

顧客を中心としたCRM環境を整備し、保守含めた顧客管理の基盤づくりにも取り組んでいきたいという。

「ユニークな営業活動もあるため、汎用的にシステム化することは難しい部分もありますが、現場のITリテラシーを高めていき、自分たちで業務改善を進める意識を浸透させていきたい」と東田氏は期待を寄せている。社内での勉強会を開催するなど、少しでもkintoneとkrewシリーズに触れる機会を増やすことで、現場のデジタル化をさらに推進していきたいと今後について語っていただいた。