導入事例
因幡電機産業株式会社様
業種:
卸売業・小売業
利用用途:
予実管理/案件管理など業務部門で使える業務改善基盤
使用製品:
krewSheet
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
押し寄せるシステム変更依頼に現場で対処できる環境が必要に
kintone展開に欠かせないExcelインターフェースが魅力のkrewSheet
電設資材における専門商社として高いシェアを誇る因幡電機産業株式会社では、電設資材事業、産業機器事業、自社製品事業の3つのセグメントをカンパニー制で展開している。各カンパニーからは、システム変更依頼が多く寄せられており、基幹システムの肥大化が課題に。そこで、現場レベルで業務改善が可能な仕組みとしてサイボウズのkintoneを導入、Excelに慣れた現場への展開を容易にする環境として、グレープシティが提供するkrewSheetを採用している。その経緯について管理本部 情報システム部 システム企画課 田中 健太郎氏、同課 亀井 海沙氏およびシステム管理課 寸田 誠氏にお話を伺った。
【課題】多く寄せられるシステム変更依頼に対応できる環境づくりが急務に
1938年に創業し、技術商社として幅広い分野でニーズに即応したものづくりを手掛けている因幡電機産業株式会社。電設資材事業および産業機器事業という2つの商社部門と空調関連部材やマルチメディア対応配線システムといった自社製品事業という3つの事業を展開しており、なかでも電設資材業界ではトップシェアを誇る専門商社として建物に欠かせない電気設備を幅広い企業に提供している。
そんな同社では、従来は業務に必要な環境をスクラッチにて開発運用してきたが、昨今ではSaaSをはじめとしたクラウド活用を積極的に行うことで、新たな時代に柔軟に対応できる環境づくりへの取り組みを加速している。実際の環境整備においては、営業・業務改革などを行う企画室がカンパニーごとに設置されており、その環境づくりを支援するべく、業務システムの提案から構築支援までを情報システム部システム企画課が行っている状況だ。
日々業務に利用するシステムにおける改善要望がある場合、情報システム部に対してシステム変更の依頼が提出されることになるが、従来は運用してきた基幹システムに取り込むことで対応を進めてきた。しかし多くの要望を取り込むなかで、基幹システムの肥大化が課題となっていた。「販売管理や会計、生産管理の一部などさまざまな機能をスクラッチで構築した基幹システムに集約していますが、システム変更の依頼が数多く寄せられていました。情報システム部で優先順位を決めて対応を進めているものの、基幹システムが肥大化するリスクも顕在化。システム変更の依頼にも柔軟に対応できない状況になっていたのです」と田中氏は当時の課題を振り返る。一部のカンパニーでは営業支援システムなどを先行して導入していたものの、個別に導入するという体制にはなっていないことから、現場からの改善要求に応えられる基盤づくりが求められたのだ。
【選定】Excel文化が浸透している現場に展開するために欠かせないkrewSheet
新たな環境づくりでは、現場からの要望を情報システム部が全て対応するのではなく、現場主導で環境整備が可能な仕組みを検討することに。「基幹システムの保守運用で多くのリソースが割かれていたことで、各カンパニーに設置されている企画室向けに、自分たちで現場の業務改善につなげていける環境を整備することにしたのです」と田中氏。
そこで現場主導で業務改善できる基盤を検討する過程で注目したのが、サイボウズが提供するkintoneだった。「実は関連会社がkintoneを使っており、その有効性については事前に把握していました。他のソリューションについては、展示会などに足を運んで情報収集し、複数のソリューションのなかで圧倒的にアプリ作成しやすかったkintoneを選択したのです」と田中氏は説明する。
ただし、業務のなかでExcelが広く利用されており、視認性の観点からExcelライクなインターフェースが求められたという。そこで注目したのが、グレープシティが提供するkintoneプラグインのkrewSheetだった。「Excel文化が根付いているだけに、kintoneに対してネガティブな意見が出てくることも想定されました。krewSheetであればそんな懸念を払しょくできると考えたのです」と田中氏。現場の声を集めていた企画室のほうでも、krewSheetの評判はよかった。「やっぱりExcelみたいに一覧上で編集できるような使い方を現場も望んでいると聞きました。まさにkrewSheetであれば最適だと考えたのです」と語るのは亀井氏だ。
実はkrewSheet以外にもフリーで利用できるExcelライクなkintoneプラグインを試してみたものの、確かに見た目はExcelながらソートできないなどExcelと同じような使い勝手ではなかった。「現場からもkrewSheetのほうがいいと評判でした。krewSheetならシステムを変えたくないと考えている方にも文句なく利用してもらえると実感したのです」と亀井氏。
そこで、kintoneにてテストアプリを作成したうえで1か月ほど試験運用を行い、各カンパニーへの展開を行っていったという。「もともと課題となっていた値引き書や返品受領書など紙で申請承認を行っていたフローをテスト的に作成したkintoneアプリに切り替え、ペーパーレス化してもらいました。特定のカンパニーでは以前から改善要望が上がっていたもので、すぐに使ってもらえると考えたのです」と田中氏。
テストアプリにて充分現場で運用できることが検証できた段階で、各現場の業務改善につながるプラットフォームとして、kintoneおよびkrewSheetが採用されることになる。
【効果】現場主導で進められるkintoneとkrewSheetが業務改善をさらに加速させる
■カンパニーごとの業務改善に幅広く活用
現在は、電材カンパニーを中心に全体で660名ほどがkintoneおよびkrewSheetを活用しており、情報システム部はもちろん、産機カンパニーの管理職や監査室のメンバーなどが現場の業務改善につながるアプリを作成し、業務に活用している。他カンパニーでも活用に向けた環境づくりを進めており、電材カンパニー同様日々の業務に活用していく計画だ。
具体的には、電材カンパニーでは100を超えるkintoneアプリを運用しており、ペーパーレス化を実現するワークフローをはじめ、売上に関する予実管理やフォームブリッジと連携させて仕入先へのアンケート調査などさまざまな業務に活用している。「なかでも予算と実績を一覧で把握しやすいようkrewSheetを適用しています」と亀井氏。また産機カンパニーはで活動履歴管理や案件管理など営業支援のツールとしてkintoneを活用しており、名刺管理など顧客情報のマスター的なアプリも作成、krewSheetのみならずアプリ間の連携にkrewDataも活用する計画となっている。監査室に関しては、従来スクラッチで構築していた監査報告書の作成から承認フローなどをkintoneに置き換えて運用している。
2021年に新卒で情報システム部 管理課に配属された寸田氏は、経費の予実管理を行うアプリをはじめ、EDIを運用するために取引先に休みの予定を申請してもらうアプリや拠点を新たに新設する際に必要なシステム項目を確認する拠点増設チェックリストアプリなどを自身で作成しており、krewSheetを活用して使い勝手を高めている。また企画課では、情報システム部全体で利用するアプリを中心に、紙で行われていた各種申請は全てkintoneに置き換えている状況だ。「特にISOに関連した監査文書は毎年改訂が必要で、その承認プロセスをkintoneによって電子化しています」と亀井氏。また、当番制で朝昼晩の出社管理や朝礼の担当を決めている情報システム部では、そのスケジュール管理をkintoneのカレンダープラグインを使って行っている。他にも、週報アプリや会議予約、資産管理などさまざまシーンで活用が進んでいる。「おそらく情報システム部としては40ほどのアプリを運用していますが、そのほとんどにkrewSheetを適用しています。一覧が見やすいのがなんといっても大きい」と田中氏は評価する。
■1週間がわずか1日で処理が可能に。Excelで管理するという発想はなくなった
今回新たにkintoneおよびkrewSheetを各カンパニーに提供したことで、従来1週間ほど処理がかかっていた紙でのワークフローが、今では1日ほどで処理できるなど大きな業務改善につながっているという。返品依頼などFAXによる物流センターとのやり取りが電子化され、月次の状況把握も容易になっていると現場からも好評だ。また情報システム部では、取引先から毎月送られてくる請求書をはじめとした経費のチェックリストをkrewSheetで作成している。「処理の抜け漏れを防ぐだけでなく、状況が可視化できるようになったことで作業時間にもゆとりが生まれています」と寸田氏。またペーパーレスに大きく貢献しただけでなく、テレワークの申請などもkintone上で実施しており、テレワークへの移行もスムーズに実施できているという。
krewSheetについては、セルが色分けして表示できるだけでなく、経費処理に必要な複雑な計算式が活用できるなど、Excel同様の処理がkintone上で実施できる点が高く評価されている。「まさにExcelそのもの。関連レコードも画面下に表示されるなど、非常に使いやすい。もちろんちょっとした作業にExcelは利用していますが、もはや管理をExcelでやろうという発想はなくなりました」と田中氏は高く評価する。普段アプリ開発を行っている亀井氏は「krewSheetに関して問い合わせはほとんどしていません。分かりやすいマニュアルがありますし、やりたいことがすぐに解決できるので負担もありません」と評価する
kintoneやkrewSheetの学習については、kintoneディベロッパーのハンズオンやYouTube動画で基本的な操作を学ぶなど、さまざまな手段が提供されている。「文系出身でシステムに詳しくない私でも、さほど悩むことなく利用できています。自分で触りながら理解していけるのは大きい」と寸田氏。
■社内展開の武器としてインパクトのあるkrewSheetをさらに活用していきたい
今後については、現状スクラッチで開発している基幹システムをERPなどへ刷新することも計画されており、肥大化してきた業務の一部をkintoneに移行することも含め、システム全体の最適化を図っていく計画となっている。そのなかで、経理や総務、人事といった、管理本部内でもkintoneを活用していない部署への展開も検討しているという。「おそらく適用できる業務は各部門とも多いと担当者からも聞いています。まずはkintoneの理解を進めながら、業務効率化に向けて展開していきたい」と田中氏。
現在もインターフェースとしてkrewSheetへの要望が高いことから、新たなアプリ展開の際に適用を進めていき、一部産機カンパニーにて展開を検討しているkrewDataをはじめ、ダッシュボードにて情報の可視化が可能なkrewDashboardなど、現場のニーズに合わせて新たなプラグインも提供していく予定だ。なかでもkrewSheetについては、他部署に紹介する際に非常に重宝しており、展開時には効果的だと亀井氏は期待を寄せている。「引き続き業務に活用していきますが、特に他部署に紹介する際には“Excelのように使えますよ”と伝えると非常に反応がいい。ぜひ社内に広げていくためのツールとしてもkrewSheetを積極的に使っていきたい」と今後の展開について語っていただいた。