導入事例

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早川産機株式会社様

業種:卸売業・小売業

部署:全社

利用用途:基幹システムのUI / 案件管理基盤

使用製品:krewSheet / krewDashboard

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事例公開日:2024年8月6日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

krewSheetのXrossモードを活用して検収情報の消込や在庫管理を効率化
現場へのkintone展開に大きな効果を発揮するkrewシリーズ

1974年に創業以来、飲料サービス機材パーツや、輸入機材の国内向けカスタマイズ、自社開発の飲料ディスペンサーを手掛けてきた早川産機株式会社では、Excelを中心とした案件管理の仕組みを刷新し、kintoneによる情報共有を推進。kintoneを社内に展開する過程で使い勝手を向上させるための仕組みとして、メシウス株式会社のkrewシリーズを導入している。その経緯について、業務部 財務部 部長代理 髙橋 尚樹氏および業務部 情報管理課 主任 堀 摩実氏にお話を伺った。

【課題】Excelによる案件管理、情報共有が進まない

海外メーカーの代理店としても大きな実績を持つ早川産機株式会社。同社の飲料ディスペンサーは、各飲料メーカーが導入し、大手ファストフードチェーンの国内各店舗や、大規模テーマパーク、映画館などのアミューズメント施設や大型スーパーのフードコーナーに設置されている。

そんな同社では、営業部門における案件管理をExcelで運用していたとのこと。商材となる飲料ディスペンサーは機材そのものの調達・納品に加え、メンテナンスもある。納期は長期にわたることもあるため、見込情報も含めた案件情報を早期に共有する手段としてExcelを利用していたのだそうだ。業務部門の購買・経理を支援していた髙橋氏は次のように当時の状況を振り返る。

購買や経理処理にも関わるため、見込みの段階から案件情報を把握する必要がありました。営業担当者に直接情報を聞くこともあればメールや自分の案件だけが含まれたExcelが共有されることもあるなど、担当者によってバラバラに通知が行われていました。この情報を集約・管理するのに手間がかかるため、営業に対して案件管理の基盤を用意し、そこに情報を記載してもらうことはできないかなと考えたのです」

業務部 財務部 部長代理 髙橋 尚樹様
髙橋 尚樹様
業務部 財務部 部長代理

そこで、営業担当者全員が案件情報にアクセスしやすく、情報管理基盤としても整備が容易なサイボウズのkintoneに着目することになった。

「当初から外部にお願いすることなく、自分たちで開発、運用できるものが希望でした。また小さく始めることを念頭に、スタートしやすく解約しやすいクラウドサービスとして、展示会で出会ったkintoneをトライアルとして入れてみることにしたのです」と髙橋氏。

課題概念図

【選定】krewSheetとの衝撃的な出会い、現場の不満解消に役立つと判断

kintone契約後は、髙橋氏自身が案件管理アプリを作成して営業現場に展開していったが、なかなか思うようには広がらなかった。そんな折、基幹システムの刷新プロジェクトが始まった。それに伴い販売管理システムも作り直すことになったという。実は、とある大口顧客に対する対応履歴の仕組みが販売管理システムに組み込まれていて、基幹システムを刷新するとなると、販売管理システムもそれに合わせて作り直す必要があった。さらに、商談の際に顧客に提示する見積りは4つのパターンがあり、これにも対応を迫られた。当然、システム構築の概算金額はかさんでいった。

「基幹システムの刷新プロジェクトが始まる以前から、販売管理システムの改修は頻繁に行われていて、その都度、時間と費用が発生していたことは、課題として認識していました。そこで、この機会に特定の大口顧客の対応履歴と見積り作成についてはkintoneに移行しようと決めました。」と髙橋氏。

しかし、現場の反発はそれなりに大きかったという。

「大口顧客の対応履歴と見積作成のアプリをkintone化したことで、それまで営業部門にあまり浸透しなかったkintoneを半ば強制的に触ってもらうことになったのですが、やはりExcelに慣れていた現場から不満があがりました。そこで何らかの環境整備が必要になったのです」と髙橋氏。

現場からは、個別にレコードを開いて編集するプロセスに対する不満が大きく、Excelのように一覧画面から簡単に編集できるユーザーインタフェースづくりが求められたという。そんな時、サイボウズのイベントで出会ったのが、メシウスのkrewSheetだった。

髙橋氏と一緒にkintoneでのアプリ構築に携わる堀氏は、krewSheetの印象について次のように述べる。

「kintoneを導入した頃は、それほど多くの連携サービスやプラグインがなかったのですが、常に便利なツールは探し続けていて、とにかく現場が使いやすい環境づくりを意識していました。そんな折、髙橋からExcelライクなことがkintoneで実装できるというプラグインの話を聞き、実際その通りで驚きました。衝撃的な出会いで本当に凄いものが出てきたと感じたのです」。

業務部 情報管理課 主任 堀 摩実様
堀 摩実様
業務部 情報管理課 主任

髙橋氏も「現場に『kintoneを使ってみて』というのと、『Excelと変わらないので使ってみて』というのでは、印象が大きく違います。慣れ親しんだExcelと変わらないと安心してもらうことで、利用促進につながると考えたのです」と振り返る。

まさに同社が求めていたプラグインが登場したことで、kintoneを業務基盤として活用してもらうための強力なユーザーインタフェースとして、krewSheetが採用されることになったのだ。

【効果】kintoneの価値を高めるkrewSheetが欠かせない存在に

■ 基幹システムと連携、問い合わせ管理や発注依頼などにkrewSheetを活用

現在は、全従業員と一部の取引先に対するゲストスペースも含めて60ほどのライセンスでkintoneおよび、krewSheetを活用しており、アプリ数は初期に作成したトライアルのものも含めて550を超える規模にまで拡大している。基本的には、krewSheetをユーザーインターフェースとしてほぼ全てのkintoneアプリを展開している状況だ。

旧基幹システムのデータを全てkintone上に取り込み、マスター系のアプリとして情報を管理。現在も、売上や仕入れ、受注、発注、在庫など基幹システムが持つ情報をデータ連携ツールのASTERIA Warpにて自動取り込みしてマスターアプリとしての活用も進んでいる。

必要な情報をその都度基幹システムにログインして閲覧せずに済むよう、多くのデータをkintoneに取り込み、関連シートから確認できるようにしています」と堀氏。

なお、krewDashboardも合わせて導入しており、経営層に対して売上の達成状況を報告する際に活用、営業担当者別の予実管理含めた詳細な情報をグラフィカルに表現する使い方が中心となっている。

krewDashboardを適用し、売上の実績や予算達成率を可視化
▲ krewDashboardを適用し、売上の実績や予算達成率を可視化

kintoneアプリの種類としては、マスター系のアプリとともに、対応履歴を管理する問い合わせ管理アプリや、製品や社内の備品調達といったワークフローが動く発注依頼アプリなどが用意されている。

基本的には基幹システムから情報を取り込んで業務アプリに展開する使い方だが、見積計上に関しては、見積アプリから受注連携用のアプリにデータを展開し、その情報をデイリーで基幹システムにRPAを利用してインポートする処理が行われている。また、顧客からの問い合わせを受け付けるコールセンター業務の一部を外部委託しており、kintoneのゲストスペースを活用して問い合わせ内容を入力してもらい、常に最新情報が確認できるようになっている。

「以前は前日の問い合わせ内容を送ってもらい、全て手入力していましたが、今は外部委託先で直接入力してもらえるようになっています」と髙橋氏。

顧客ごとの過去の問い合わせについてもkrewSheetの一覧画面をゲストペース上に展開しているなど、コールセンター用のCRM機能としても重宝している状況だ。

効果概念図
■ Xrossモードを有効活用、問い合わせや案件の状況把握が容易に

問い合わせ管理については、顧客から電話連絡があった時点でkintoneアプリにてレコードを作成し、その後の進捗状況はkrewSheet上の一覧画面で管理。動きがあれば情報メンテナンスを実施している。各レコードをクリックすることで関連シートにその問い合わせ内容の詳細が表示され、修理の内容から完了報告メールの送付状況、売上状況の情報も一覧画面から確認できるだけでなく、留意すべき情報を色分けするなど可視性を高める工夫も施されている。

問い合わせ管理アプリ。krewSheetの検索機能と関連シートで使いやすいUIになっている
▲ 問い合わせ管理アプリ。krewSheetの検索機能と関連シートで使いやすいUIになっている

顧客から提供される検収情報と基幹システム側で売上計上したものの情報が合致するかを確認する検収アプリでは、krewSheetのXrossモードをフル活用している。

「顧客側からの検収情報が1つの売上明細となっていても、我々側が複数に分けて分納している場合は金額が合わないケースも。顧客から受領したExcelでの検収情報と基幹システムの売上情報を突合したうえでXrossモードにて受注ナンバーをキーに金額確認を行っています」と堀氏は説明する。

以前は基幹システムからCSVにてデータを出力し、顧客からの検収情報をアナログでチェックする作業に3日ほどを費やしていたが、今では差異のあるものだけを抽出してチェックするだけで済み、大幅な時間短縮につながっている。一方で、同社が委託する修理業者からの請求情報をチェックして原価として把握するアプリも作成しており、毎月500件を超える請求情報に差異がないか確認できるようにしている。

Xrossモードが実装されたことで、Excelで個別に実施していたピポット処理をやめることができたのが、在庫情報を管理している商品別在庫一覧問い合せアプリだ。商品分類を大きなカテゴリから最小単位にまで絞っていくことで簡単に在庫情報が把握できるようになっている。

「ピポットテーブルの場合、詳細な数位の中身を確認するために、ダブルクリックして別のシートの情報を確認する必要がありました。krewSheetであれば、数字に関連した情報が関連シートで1つの画面からシンプルに確認できるようになっています。データ作成および確認の時間を大幅に削減できるようになりました」と髙橋氏は評価する。

Xrossモードを活用した検収アプリ。顧客が認識している支払い予定金額と請求金額の差異を洗い出し漏れを防いでいる
▲ Xrossモードを活用した検収アプリ。顧客が認識している支払い予定金額と請求金額の差異を洗い出し漏れを防いでいる
■ 情報アクセスの負担が3分の1に、改修も当日に実施できるなど使い勝手の高さを評価

kintoneおよびkrewシリーズを導入したことで、対応履歴なども含めて必要な情報が全て集約でき、検索して情報を探すといった手間がなくなったことは大きいという。

「レコード画面で関連した各種情報を全て入れておけば、krewSheetの一覧画面上の関連シートからタブ分けされた形で各情報へ簡単にアクセスできます。kintoneのレコード内にある関連レコードから情報を見てと言ったら確実に現場から怒られることでしょう。krewSheetがあるからこそ、全ての情報が関連シートから容易に確認できるようになりました。情報へのアクセス時間や負担も3分の1ほど程度に圧縮できている」と髙橋氏は高く評価する。

また、内製化のプラットフォームとしてkintoneおよびkrewシリーズが機能しており、アプリの改善スピードも格段に向上している状況だ。「本来なら、我々が実現したいことを伝えてアプリを作ってもらい、確認したうえで修正してもらうといった時間が常に発生しますし、当然費用も積みあがってしまう。ちょっとした改修でも1か月は普通にかかりますが、今なら当日には改修できてします。スピード感もコストメリットも大きい」と髙橋氏。

堀氏も「同じ案件でも出荷メインの担当者と見積メインの担当者では見どころが変わってきます。担当者ごとに必要な情報を追加してあげることも可能で、今では改善して欲しいことを言えば良くしてもらえるという意識が現場に広がっています」と高く評価する。

krewシリーズの使い方については、触りながら理解を進めることができるだけでなく、特にkrewSheetについてはExcelでできることを調べてkrewSheetに適用可能か確認するなど、自身での学びを深めている。「展示会でお会いして相談することもありますが、メシウスのWeb上のコンテンツを確認するなど情報がたくさん公開されているために学びやすい」と堀氏。今では業務においてkrewSheetが欠かせない存在となっており、「もうkrewSheetがないと運用できません。kintoneの価値が半減するぐらい」と髙橋氏は表現する。

また、krewSheetにてRPA作業用のシート一覧を作成しており、構造化された情報だからこそRPAを安定化させることにも貢献しているという。

kintone標準の一覧画面だと情報を横に読み取ってくことがRPAでは難しい。krewSheetのおかげで、RPAがカーソルを移動させながら変数を1つずつ読み取っていけるため、基幹システムへの確実な情報インポートにもつながっています。本当にkrewSheetさまさまです」と堀氏は高く評価する。

■ ゲストスペースの拡充とともに在庫情報でのkrewDashboard活用も期待

現在は、基幹システムとkintoneおよびkrewシリーズをそれぞれ活用しているが、今後もkintoneを業務の基本的な基盤として現場に活用してもらいながら、基幹システムはデータを蓄積するための器としての使い方を継続していきたいという。また、現在はコールセンターのオペレータ用にゲストスペースを使って情報共有しているが、発注先の事業者からの納期回答など外部とのコミュニケーション基盤としてもさらなる活用を検討したいという。

新たな挑戦としては、属人化している業務の効率化に向けた生成AIの活用だ。

「販売する製品の調達数量など経験や勘に頼って発注している部分があるため、ある程度AIに学習させて過去の知見をうまく生かして、業務の自動化や省力化、適正化に向けて活用していきたい」と髙橋氏。

十分に活用できていないkrewDashboardについては、売上だけでなく在庫情報などの可視化を進めていきながら有効活用していきたいと意欲的だ。「仕入れ額の大きな取引先については経営層に伝えていくべきですし、通年で購入金額の変化なども伝えていくことで、経営層のコミュニケーションの幅も広げることにも役立ってくれるはず」と髙橋氏に今後について語っていただいた。