導入事例

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EMC株式会社様

業種:その他

部署:全社

利用用途:業務基盤/労務管理

使用製品:krewSheet / krewData / krewDashboard

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事例公開日:2025年4月8日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

Excel業務だった労務管理・財務管理をkintoneとkrewシリーズで実現
krewDataによる自動集計で月末処理にかかる時間を50%削減

医療用医薬品・医療機器をはじめとしたメディカル関連のコミュニケーションエージェンシーであるEMC株式会社では、従来紙やExcel等を中心とした販売管理や労務管理といった業務プロセスを刷新すべく、業務プラットフォームとしてのkintoneを選択。現場展開をシームレスに行うべくExcelライクなインターフェースを持つkrewSheetとともに、複数のアプリ間のデータ連携を可能にするkrewDataや営業活動などの進捗状況の可視化にkrewDashboardを活用している。その経緯について、CTOの江上 有史氏にお話を伺った。

【課題】紙やExcelを中心とした業務からの脱却を目指してシステム化を推進

1880年にオランダで創立された世界最大級の学術出版社をルーツに持つメディカルコミュニケーションエージェンシーとして、国内外の製薬会社と医療機器メーカーを顧客に持つEMC株式会社。メディカルリテラシーの高い人材が集まり、アカデミックなメディカルコンテンツ作りを強みに、伝える力を通じて医療の発展と人々の健康に貢献するリーディングカンパニーを目指している。現在は、医療用医薬品のブランディングやプロモーションを手掛けるプロモーション事業をはじめ、臨床試験や横断研究の結果を国内外の学会や科学誌に発表するための出版関連業務などを展開している。

2018年にエルゼビア・ジャパン社のファーマコミュニケーション事業が会社分割され、オムニコムヘルスグループの一員となって誕生した同社は、かつてAccessを中心に、Excelや紙で業務を運用していた。たとえば、紙による経費精算や請求書処理、Excelによる勤怠管理などである。そこで事業承継を契機に、社内の業務システムを整備するプロジェクトがスタートしたと江上氏は当時を振り返る。

HR領域の出退勤や休暇手続きといった労務管理や、案件の進捗を中心とした販売管理、予算管理などが、それぞれ部分最適化された形で運用されていました。そこで、社内の業務システムをしっかり整備していくことが方針として示されたのです」。

CTO 江上 有史様
江上 有史様
CTO
Accessを中心に、Excelや紙で業務を運用していた

【選定】導入済みのkintone、krewシリーズがなければ全社の業務基盤にはなり得なかった

新たな環境づくりでは、グループ企業で導入していたERPパッケージを念頭に業務基盤を整備することを検討したが、イニシャルコストで数千万円の規模になることが分かったという。

「当初は他のグループ企業との親和性が高まることを期待して、ERPパッケージをカスタマイズする形での環境構築を検討しましたが、要件をまとめる工数や改良の都度改修費用がかかることなどを考えると、時間と費用の両面で難しい状況でした」と江上氏。

オンプレミスで利用できるローコード開発プラットフォームも検討したが、サーバー管理などの負担がかかるため、別のアプローチを模索し、業務プラットフォームとして以前、営業部門の一部で導入した経験のあるkintoneに注目したという。

ERPで実現していた業務範囲どこまでカバーできるかが重要でしたが、事業承継前から使用経験のあるkintoneであれば、大規模なコストをかけずに内製化できる環境を実現できると考えたのです。サーバー管理の負担もなくPaaSとしてローコード開発が可能なkintoneが有力な候補となりました」と江上氏は語る。

ただし、kintone単体で既存の業務を再現するには、社員が使い慣れているExcelの操作性を取り入れる必要があり、kintoneをExcelライクなインターフェースにできるプラグインのkrewSheetと、業務基盤として必要なデータ集計やデータ連携が可能なプラグインのkrewDataが不可欠だったという。

「出勤簿など全社員が利用するアプリを現場に展開する際には、Excelライクな操作性を実現してくれるkrewSheetが必要でしたし、定期的なデータ集計を行うにはバッチ処理に対応できるkrewDataが不可欠でした。krewシリーズがなければ、おそらくkintoneは選択できなかった」と江上氏は力説する。

そこで、勤怠管理や売上管理、経費精算など全社的な業務に活用することを前提に、各部門からメンバーを募って検証を重ねた結果、新たな業務基盤として活用できると判断。ERPに代わる新たな業務基盤として、kintoneとkrewシリーズの組み合わせを選択することを決断したという。

【効果】グループ企業のERPの置き換えに成功、財務部門や人事部門などの業務効率化に貢献

導入当初はEMC社単体で運用を開始したkintoneおよびkrewシリーズだったが、ほかのグループ企業も既存ERPから脱却し、現在は6つのグループで300名程が利用する業務基盤として活用されている。稼働しているアプリは70ほどあり、出退勤の打刻アプリと連携する勤務表をはじめ休暇申請や人事評価管理などHR業務での活用、案件ごとの進捗から売上確定、請求書発行といった販売管理、業務に関連したFAQをまとめたFAQスレッドなどのアプリが運用されている。アプリのインターフェースにはkrewSheetが使われており、アプリ間のデータ連携やデータの集約・集計といったバッチ処理をkrewDataが担っている。また、部門や担当者ごとの売上状況などを可視化するためにkrewDashboardも導入している。それでは具体的な活用例を次に紹介していこう。

■ 労務管理でのkrewシリーズの活用

労務管理では出退勤と休暇申請にkrewDataとkrewSheetが利用されている。具体的には、出退勤時刻を取得する打刻アプリから勤務表アプリに時刻を自動転記する処理と、「休暇/休日出勤申請アプリ」で承認された休暇日数を有給休暇のマスターから減らして残日数を勤務表に反映するといった処理にkrewDataを活用している。勤務表アプリはkrewSheetが適用されていて社員ごとの出退勤状況がExcelのように表示される。出退勤時間は直接入力したり編集したりできるようにもなっているので出退勤打刻の訂正もExcel感覚で対応できる。人事部や上司が勤務状況を把握しやすく訂正申請にもすぐに応じられる形だ。人事部では、勤務表アプリに記録された社員の全データをCSVに出力し、社労士事務所に提出することで給与支払いの処理を行ってもらっているとのこと。Excel管理時代はこうした集計作業に何日もかかっていたが、krewDataとkrewSheetにより作業時間をできたという。

▲ 1.毎月の勤務表を社員マスタと休日カレンダーから作成するkrewDataのデータ編集フロー図
▲ 2.でき上がった勤務表にkrewSheetを適用。日付が縦方向に表示されExcel感覚で視認・編集ができる
▲ 3.勤務表のデータから残業時間と実務時間を集計するkrewDataのデータ編集フロー図
▲ 4.krewDataにより集計された残業時間の一覧(エクセルに出力したもの)
社員全員の勤務状況を自動集計、休暇日数などはkrewDatで勤務表に自動反映など、半日かかっていた集計作業が半減!
■ プロジェクト(案件)の進捗管理でのkrewシリーズの活用

プロジェクトごとの進捗管理を行う「JOB管理アプリ」では、フェーズごとに案件進捗をkrewSheetで管理し、関連シートで明細や単価、売上金額などの明細とともに、課税対象か否かを選択する。krewSheet上で見積作成を実施し、最終的に売上確定したものを財務会計の仕組みに書き出して反映する運用となっている。プロジェクトごとの売上はkrewDashboardで可視化し状況をひと目で把握できるという。

「売上確定後に仕入データなどを加味したうえで、月初にkrewDataによるバッチ処理で利益計算を実施し、CSVやExcelに確定情報を吐き出して財務会計の仕組みに展開しています。財務会計側にある仕入原価などのコストは、月に数回クラウドストレージのBoxにデータを自動的にエクスポートし、krewDataでkintoneに取り込みます。運用面でも負担軽減に貢献しています」と江上氏は説明する。

▲ 売上金額を月次でエリア・部署ごとに把握できるkrewDashboard。
※ 情報秘匿のためダミーデータで表現しています
■ 締め処理の期間を半分に短縮、内製化によって外部コストの圧縮にも寄与

kintoneおよびkrewシリーズを中心に業務基盤を整備したことで、財務部門が行う月末締めの処理が半分ほどの期間で処理できるなど、業務の大幅な効率化につながっていると評価する。

勤務データを社労士事務所に送る処理も、以前は全社員分を人事部門で抽出して集計するなど手作業が多く発生していました。今は抽出したローデータを渡すだけで済み、数日の作業負荷軽減になっています」と江上氏。

また、内製が可能な環境になったことで、軽減税率など法令改正への対応も外部に委託することなく迅速に対応できるなど、数百万円規模の外部コストの圧縮につながっているという。

「新しい業務に適用する際はkrewシリーズを使う機会が多いのが実情です。分からないこともヘルプで解決しやすく、試行錯誤しやすい点も気に言っています」と江上氏は評価する。情報の一元管理による業務の進捗が把握しやすく、承認プロセスをシステムに落とし込むことで統制環境の強化にもつながっている状況だ。

krewシリーズに対しては、現場への展開時にExcelのような見た目で従来の関数も柔軟に活用できるkrewSheetが重宝しているという。

「現場にとっては慣れ親しんだインターフェースが提供できるkrewSheetがとても有用です。一方、管理する立場としては、アプリ間の集計やバッチ処理などがkintoneで実現できるという点で、krewDataがとても重宝しています。krewDataに処理を完全に任せているので逆にkrewDataからエラーメールが届くと心臓に悪いです」と江上氏は笑いながらkrewシリーズへの信頼の高さを見せてくれた。

■ 業務インフラとして確立されたkintoneとkrewシリーズ、現場の要望に今後も応えていく

今後については、社内の業務基盤として継続してkintoneやkrewシリーズを活用していく計画で、現場からの要望のなかで必要なものを適時実装していくという。「業務インフラとして確立していることもあり、新しいビジネスが動き出せば当然kintoneやkrewシリーズで環境を整備していくことになるでしょう」と江上氏は意欲的だ。

また、現在は江上氏が全てのアプリ作成を行っているため、管理者権限の付与も含めて開発できるメンバーを増やしていくことも視野に、業務基盤としてのkintoneおよびkrewシリーズの用途を拡張させていきたいと今後について語っていただいた。