導入事例
ディップ株式会社様
業種:
人材サービス業
利用用途:
予実管理、ヨミ表管理
使用製品:
krewSheet・krewData・krewDashboard
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
情報システムの支援なしにデータの結合、集計も容易に実現
三位一体のkrewシリーズが営業現場及び管理業務を強力支援
日本最大級のアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」などを手掛けているディップ株式会社では、営業担当者が利用するヨミ表管理の基盤としてkintoneを導入し、現場の入力を支援するためにグレープシティの「krewSheet」を活用。アプリ間の結合やデータ集計を行う「krewData」やデータ可視化を実現する「krewDashboard」も駆使し、いち早く現場へ情報提供を行う環境を整備している。krewシリーズが求められた背景について、人材サービス事業本部 事業企画統括部 事業管理部BPR推進課 課長 橋本 明日香氏、同課 安西 美結氏にお話を伺った。
【課題】事業規模が拡大するなかでExcelでの管理が限界を迎える
労働力の総合商社として人材紹介サービスやAI・RPA関連サービスを展開
人材サービス事業を中心に求人情報サイトや看護師の人材紹介サービスを手掛けているディップ株式会社。日本最大級のアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」をはじめ、正社員・契約社員求人情報サイト「バイトル NEXT」、総合求人情報サイト「はたらこねっと」、看護師人材紹介サービス「ナースではたらこ」などを運営。2019年3月には、“Labor force solution company”を新たにビジョンに掲げており、人、AI・RPAの両面から企業を支援する“労働力の総合商社”として⽇本の労働市場における諸課題の解決にさらに貢献すべく、AI専門組織「dip AI.Lab」の設立や日本初の人工知能専門メディア「AINOW」の運営のみならず、社内にRPAを導入してノウハウを蓄積。AI・RPAサービスの開発・提供を行う新事業を開始するなど、新たな分野への進出にも積極的だ。
Excelでの管理に限界を迎えるなかで出会ったkintone
そんな同社で求人情報サイトを手掛ける人材サービス事業本部では、売上も含めた営業数字の管理及び業務改善を事業管理部BPR推進課が行っている。
BPR推進課では、同事業本部に所属する1500を超える営業担当者が営業課単位で行っている営業ヨミ表を事業部ごとに集約。実際の運用は、100を超える課ごとに用意されたExcelファイルの数字を日々集計することになるが、1課5名程度だった以前の状況から、現在では10名を超える規模にまで組織が拡大。数字の入力や集計に関する課題が顕在化してきたという。
「10名を超えてくるとExcelでの同時入力が難しく、ファイルの更新待ちが発生することが増えてきました。誤った操作でファイルが壊れてしまうこともあり、結果として属人化したExcelファイルが個人PC内にあるなど、情報管理という視点での課題が明らかになってきたのです」と橋本氏は当時を振り返る。
また、現場の数字と基幹システム内の数字を突合して月次の締めを行う際に、どうしても数字が合わずに現場への確認に時間と手間がかかり、なかなか月次が締められない事態も発生していた。「現場でのExcel入力や事業部内での集計作業、そして基幹システムとの数字の調整など、各部署においてExcelでの運用に限界を感じており、何らかの改善が求められたのです」と橋本氏。当初は会計システム側でのカスタマイズで対応することも検討したものの、事業部ごとに管理項目の変更が頻繁に起こるために断念。その都度情報システム部門にお願いせずともカスタマイズが容易な自由度の高い仕組みを検討し、たどり着いたのがkintoneだった。
【導入】kintoneの魅力と現場の使い勝手を両立するkrewシリーズ
kintoneだけではExcelでの使い勝手が再現できない
本来的には営業のヨミ管理の帳票として活用していたExcelをkintoneに置き換える計画だったが、まずは日報や営業アシスタントへの依頼フォームといった売上に直結しない業務から始めていき、同時進行でkintoneを使ってヨミ管理の帳票を作成していった。しかし、ヨミ表の運用を始めてみたところ、課題も明らかになった。「1件ずつ登録するような業務であればkintone標準の動きで十分ですが、多くの案件を登録する案件管理などでは、使い勝手の面で現場から改善して欲しいという意見が数多く寄せられたのです」と橋本氏。レコードのシンプルな検索や案件情報のコピーといったExcelならではの使い勝手に関する要望が強く、移行段階で並行運用していたExcel運用に戻さざるを得ない状況に陥ったという。
krewSheetは、まさに“Excelそのもの”だと驚愕
kintoneの使い勝手を向上させる方法を模索する過程で橋本氏が出会ったのが、グレープシティが提供するkrewSheetだった。「いろいろ模索するなかでkrewSheetがリリースされたことを聞きつけたのです。まさに“Excelそのものだ”と驚きました」。現場が必要としているExcelの使い勝手が、kintone上でそのまま再現できると直感したという。
ただし、最初からkrewSheetに対して前向きだったわけではない。「結局Excelのような管理に逆戻りしてしまうのではと、私のなかで抵抗もありました。それでも現場からExcelの使い勝手を維持して欲しいという要望が強かったこともあり、導入することを決断したのです」と橋本氏。
ただし、krewSheetによって現場の不満は解消できたものの、今度は複数のアプリから情報を紐づけて集計するといった業務については、管理部門の負担が解消できていなかった。そこで、情報システム部門に依頼してkintoneのカスタマイズを行うことで対応していくことに。「本来であれば自分たちだけで簡単なものは修正したかったですし、バージョンアップなども考えると、できれば標準的なプラグインを使いたいという思いがあったのです」と語るのは安西氏だ。
そんな折に登場したのが、複数アプリからデータを簡単に集計できるkrewData、そして多彩なグラフやピボットテーブルによるデータ可視化を実現するkrewDashboardだった。「カスタマイズで対応していた機能がプラグインで実現できることが分かり、すぐに購入を決めました」と橋本氏。
結果として、kintoneを営業管理のプラットフォームに、Excelライクな使い勝手を実現するkrewSheetをインターフェースとして活用。さらに、情報の集計やアプリの結合及びデータクレンジングなどの加工処理にkrewDataを、上長などへの見える化を可能にするkrewDashboardを導入することで、現場の業務改善に生かす環境を整備することに成功している。
【導入効果】3つのkrewシリーズが営業現場及び管理部門のBPRに大きく貢献
活用の幅を広げたkrewシリーズを高く評価
現在は、営業担当者や管理部門も含めて1600を超えるアカウント数でkintoneが利用されており、試行錯誤しているアプリも含めて1000を超えるアプリを作成、実際に活用しているアプリの4分の1ほどにkrewSheetが適用されている。「レコード数が多いものや営業に直接入力してもらうようなアプリはkrewSheetを適用しています。基本的にはこちらの判断で適用しますが、要望があればその都度検討して対応しています。ここまで活用の幅が広がったのはkrewシリーズのおかげ」と橋本氏。また、krewDataを使ったフローは30ほどが作成され、アプリ内のデータ結合や集計が行われている。なお、BPR推進課の組織内は自由にアプリ開発が可能な環境が整っている。
CRMと連携しながら営業のヨミ表管理を効率化
実際によく利用しているアプリは、事業部によって呼び方が異なるものの、営業担当者ごとの数字を管理するヨミ表がその中心だ。このヨミ表に入ってきた情報を基本に、ヨミ表の情報をkrewDataで集計したり目標管理アプリと結合したりしながら、krewDashboardを使って見える化するなど、さまざまな予実管理に利用されている。ある事業部の例を挙げると、案件発生時にCRM内で管理している顧客リストから情報をkintoneに流し込み、その情報をもとにヨミ表となる「提案管理表」アプリが作成される。そして、CRM上で管理されている、どの企業にいつ、どんな要件で接触したのかといった行動履歴が毎時kintone上に読み込まれ、提案金額などをkrewSheetに直接入力することで、受注確度も含めた細かなヨミ管理が行われるようになる。事業部によっては、CRMではなくkintone上でマスターを管理したうえで行動管理も含めて直接入力するケースもある。
またヨミ表からkrewDataにてアポイントの進捗状況を抜き出し、加工したうえで再度krewSheetにて表示して顧客ごとのアポ状況の集計を行うことで、目標と実績の予実を管理。さらに、毎月のヨミ情報からkrewDataで必要な情報を抽出して通期の個人実績を集計、krewDashboardにてランキング化して表示するといった使い方も行われている。営業担当別のインセンティブなどの情報も、krewSheetで集計したものを直接krewDashboardにて見える化するといった使い方もある。営業担当者の行動管理についても、krewSheet上の行動情報からkrewDataにて目標と実績を結合させ、krewDashboardにて状況が一目でわかるようになっている。「営業が直接入力するアプリだけに、ルックアップの多用は避け、krewでアプリ間をつなぎあせるようにしています」とその工夫を安西氏は披露する。
プラグイン標準の機能で課題を解決、集計作業の負担が大幅に軽減
今回krewシリーズを導入したことで、Excelの使い勝手そのままに数字の入力や管理が行えるようになったことはもちろん、管理部門側が行う集計作業などの工数が大きく削減できたと安西氏は評価する。なかには1日かけてヨミ表をExcelで作成していたこともあったが、今では報告のための集計も含めて作業自体が不要になっている。異なる指標で数字を見たいという要望に対しても、以前はExcelを集計し直す作業が発生していたが、今はkrewDataからボタン一つで情報を更新するだけ。実際の営業の接触率や商談化率の向上も実現できたそうだ。「krewDataによって集計作業が自動化されたことで、ある特定のタイミングに配信していた数字がリアルタイムに確認できるようになり、営業マネージャなど管理職から好評です。数字をうまく活用してもらえれば、次の営業活動の戦略も立てやすくなるはず」。
以前はkintoneをカスタマイズして実装していたことが、krewシリーズが持つプラグイン標準の機能で実装でき、保守の面からも大きな効果が期待できる。「krewSheetに入力された情報を集計する機能を半年ほどかけて作り込んでいましたが、krewDataやkrewDashboardがあるおかげで、今では1か月ほどの工数で簡単に集計のフローが構築できます。保守性はもちろん、工数削減にも大きく貢献しています」と安西氏は力説する。インターフェース面でkrewSheetが現場にもたらす効果は大きいが、数字を管理する上でのデータクレンジングや結合、そして見える化のための環境を考える上でもkrewSheetとkrewData、そしてkrewDashboardがそろっていることの効果を実感していると橋本氏。
実際にkrewDataを使ってデータのクレンジングやアプリ統合、数字の集計などのフローを作成している安西氏は「アプリ開発の経験がない私でも、触りながらじっくり取り組むことでフローが作成できるようになりました。慣れてくればさほど時間はかかりませんし、一度作成すれば勘所がつかめます。ただし、凝り始めると何でもkrewDataで作ってしまうため、汎用性を持たせる意味でもやりすぎないように意識しています」と語る。
営業担当者ごとのマイページで自ら予実の状況を可視化する環境を目指す
今後については、kintone内の情報を基幹システム側に反映させることで二重入力を減らす業務改善を進めながら、営業担当それぞれのマイページ画面から自分の目標に対する予実や業績達成度合いなどが確認できる仕組みを検討しており、krewDataやkrewDashboardを駆使することで次の営業のうち手が上司と相談しやすいような環境づくりに取り組んでいきたいという。
また、現状はBPR推進課だけがアプリ作成の権限を持っているが、いずれはスタッフ部門にも広げていきたいという。「我々も少人数の部隊で全ての事業を見ていくのは限界があります。各組織のスタッフ部門に対して勉強会を開きながら、我々は業務改善の手助けをするアドバイザー的な形でkintoneやkrewシリーズを広げていきたい」と橋本氏に意欲的に語っていただいた。
ディップ株式会社 概要
社名 | ディップ株式会社 |
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本社 | 東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー31F |
事業内容 | 求人情報サイト「バイトル」「バイトルNEXT」「はたらこねっと」などの運営、看護師転職支援サービス、 RPAサービス「コボット」の開発・提供、他 |
URL | https://www.dip-net.co.jp/ |